南山の先生

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人文学部・心理人間学科

髙橋 亜希子

職名 教授
専攻分野 教育学・臨床教育学
主要著書・論文 『総合学習を通した高校生の自己形成』、2013年、東洋館出版社
「海外における学習意欲を高める試み スウェーデンの高校の事例を通して」、2015年4月、『教育と医学』、第63巻4号、慶応義塾大学出版会、pp. 34-43.
将来的研究分野 高校の探究学習 高校の参加型学習
担当の授業科目 「子ども・学校論」「臨床教育学」「教育課程論」など

変わりゆく高校の学習

高校生のみなさん、こんにちは。

心理人間学科、教育学、臨床教育学担当の髙橋亜希子です。2017年から南山大学に来ました。

みなさんは現在どんな高校生活を送っていますか? 授業を受け、友人関係に悩んだり笑ったり、部活や行事に熱中したり、アーティストをチェックしたり、のんびり過ごしたり、でも将来の大学受験や就職、生き方を考えるとちょっと心配だったり・・そんな生活を送っているのではないかと思います。

私の主な研究領域は、そんなみなさんの高校生活や高校の教育です。学校での活動を通し、高校生が自己形成を行っていく過程に関心を持っています。 博士論文では、卒業研究という探究学習を行う高校で、テーマ設定や学習過程に関する調査を行いました。高校時代は、感受性も強く、エネルギーもあり、テーマの探索や学外の人と出会うこと、文章を書くことで大きく成長します。そんな、生き生きと活動している高校生の姿を見ることが好きです。高校での自主活動、参加型の学習にも関心を持っています。

高校教育といえば、最近の一番のトピックは、みなさんの後輩から入試制度と高校の科目が大きく変わることでしょう。2020年度からの「大学入学共通テスト」は、以前と出題傾向が変わりました。また2020年度改訂の高校の学習指導要領においても「日本史探究」「地理探究」「理数探究」など、「探究」とつく科目が複数導入されます。

導入の背景には、知識中心・受動的な高校教育から、より思考中心で探究的な学習が目指すという政策の方向性があります。これは、高校での探究学習を研究してきた私にとっては、喜ばしい(?)変化なのですが・・・実施には課題がたくさんあります。高校の先生も指導を変えなければならないですし、多くの項目、内容を扱う教科学習で探究学習が行えるのかも課題です。また、国立大学の入試が変わったとしても、大人数を短期間で採点する私立大学も入試を変更できるのか、教員の多忙などの問題もあり、解決は容易ではありません。次期学習指導要領は、量が変わらない中で、参加型・探究型の学習を行うという、要求の高い指導要領です。一方で探究学習を中心にした新たなカリキュラムや参加型の授業も生み出され、高校の授業も変化しています。その中で高校の授業の可能性を考えていきたいと思っています

また、高校自体も、現在大きく変化しています。

高校には、少子化による生徒募集の難しさや学校統廃合の課題もあります。地域は過疎化、少子化が進み、11年間北海道の大学に勤めていた間に、多くの高校が少子化による統廃合でなくなりました。1学年がわずか10名ほどの公立高校を訪問したこともあります。一方で廃校となった道立高校を、市町村が引き受けて、美術・工芸や調理・製菓などに特化した特色ある高校も見ました。そのような高校では生徒も制作を通して生き生きと活動していました。統廃合の議論を通して、地域と高校が高校の存在する意味を考え、地域の若者にとっての意味ある教育を創っていました。このような、地域との繋がりを通して再生していく高校が残っていくのだと思います。

その他にも、iPadや協同学習が導入されていたり、日本の高校と思えないほど(?)探究学習を積極的に取り入れていたりする高校もあります。進学対策も就職対策も、私たちの想像を超えたことが実施され始めています。高校は大学への通過点と考えられて、大学進学を前提とした学習が行われてきましたが、今は高校も生徒に学ぶ意味を説明し、地域や職場、社会と繋がっていくことが求められているようです。

このように高校は大きな変化の渦中にありますが、正しい答えは誰にもわからない状況です。私自身も、新しい学びを創り出している高校を訪問して、答えを考えています。

よかったらみなさんも一緒に考えてみませんか。教員になりたい、教育に関心がある、教育の在り方を考えたい人など、お待ちしています。