南山の先生

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人文学部・心理人間学科

中村 和彦

職名 教授
専攻分野 人間関係トレーニング、組織開発、グループ・ダイナミックス
主要著書・論文 『入門 組織開発』単著(光文社新書)、『組織開発の探究』共著(ダイヤモンド社)、「大学1年春学期におけるラボラトリー方式の体験学習の効果」単著『実験社会心理学研究第52巻第2号』
将来的研究分野 ラボラトリー方式の体験学習の理論的研究、組織開発
担当の授業科目 「人間関係プロセス論(ファシリテーション・アプローチ)I・II」、「人間関係トレーニング」

授業の中での体験から私に気づく・私を育てる

「人間関係概論」は、心理人間学科の1年生が受講する、入学後に初めて受講する体験学習による人間関係論の授業です。授業の教室は広くて絨毯が一面に敷かれています。机やイスはありません。初めてこの教室に入った学生さんのほとんどは、「この教室でどんなふうに授業が行われるのだろう?」と不思議に思うようです。授業では、グループの実習の時は、5~6人のグループがランダムに作られます。そして、その人達と課題のある実習(グループワーク)を行います。実習終了後に、「ふりかえり用紙」が配布され、実習中の自分や他のメンバーの動きについて記入をします。次に、ふりかえり用紙に書いた内容をグループ内で伝えあう「わかちあい」をします。この一連の過程を授業の中で行い、実習やふりかえりを通して、グループの中で自分がどう動いたか、どうコミュニケーションをしたか、などについて目を向けていくことにより、自分自身の特徴について気づき学んでいきます。これが人間関係の体験学習(正式名は「ラボラトリー方式の体験学習」)です。

人間関係の体験学習の授業は、心理人間学科の中でたくさん用意されています(実は、南山大学人文学部心理人間学科は、日本での「ラボラトリー方式の体験学習」の実践と研究の最先端です)。もちろん、講義による心理学や教育学の授業も心理人間学科の中にたくさん用意されており、両方のアプローチから学べることが当学科の特徴です。

人間関係の体験学習の授業は、概念や理論を学ぶ「講義型」の授業ではなく、自分自身で自分のことを学んでいく「参加型」「体験学習型」の授業です。「講義型」では教師は教える人になりますが、「人間関係概論」のような「体験学習型」の授業では、私達教師は教える人にはなりません。皆さんが自ら学ぶことを促進しサポートする「ファシリテーター」となります。授業の中で行われる様々な実習の中でいろいろな人々と関わる体験から、自分自身の関わり方やコミュニケーションの仕方について気づき、「他者と関わる力」「人間関係の能力」を育てていきます。

従来、人間関係の能力は、小さい時からの友達関係、部活動の中、クラスの中などで、何かをしながら副次的に学ぶものだとされてきました。しかし、忙しい日常の中では、自分の体験をふりかえったり、他の人から自分について教えてもらう機会はあまりありません。人間関係の体験学習は、授業の中で自分自身の人間関係の力を高めることに直接取り組む方法です。授業の中で自分自身について気づくこと、そして、他者と関わる力を高めることを可能にしてくれます。

私の研究領域としては、このような機能を果たすラボラトリー方式の体験学習の理論的研究や、その発想をベースとした組織開発の実践と研究(アクションリサーチ)をしています。