学部別インデックス
人文学部・キリスト教学科
DIETGER, Alfonsus Afri
| 職名 | 講師 |
|---|---|
| 専攻分野 | 典礼学・典礼神学 |
| 主要著書・論文 | 1. Alfonsus Afri DIETGER,「三位一体論における相互愛モデル——ダビデ・コフィーの見解の考察(A Model of Reciprocal Love in Trinitology: A Study of David Coffey’s Views)」, Nanzan Journal of Theological Studies Supplement, March 2020, No 35, pp.1-23. 2. Alfonsus Afri DIETGER, “Active Participation in Liturgical Celebration as a Form of Human Response to God’s Call: A Reflection on Mission (神の招きに対する人間の応答としての典礼への行動的参加 ― 宣教の視点からの考察),” Nanzan Journal of Theological Studies Supplement, March 2021, No 36, pp. 23-45. 3. Alfonsus Afri DIETGER, “Altar Stone as Liturgical Symbol in History and the Importance of the Altar for Today’s Liturgy (典礼的象徴としての祭壇石の歴史的考察と現代典礼における祭壇の重要性),” Nanzan Journal of Theological Studies Supplement, March 2022, No 37, pp. 43-61. 4. Alfonsus Afri DIETGER, “Study of the Concept of Participation of the Laity in the Liturgy: Comparison Between the Points of View of Edith Stein and Giorgio Bonaccorso (典礼における信徒の能動的参加の概念に関する研究 ― エディト・シュタインとジョルジョ・ボナッコルソの視点の比較),” Nanzan Journal of Theological Studies Supplement, March 2023, No 38, pp.1-23. 5. Alfonsus Afri DIETGER, “The Role of the Holy Spirit as the Unifier of the Faithful in the Body of Christ: A Study of Euchological Texts in the Evening Mass of the Solemnity of Pentecost (キリストの体における信者の一致の源としての聖霊 ― 聖霊降臨祭前晩ミサの典礼祈願文に関する研究),” Nanzan Journal of Theological Studies Supplement, March 2024, No 39, pp.1-27. 6. Alfonsus Afri DIETGER, “The Liturgical Movement and Its Contribution to Liturgical Reform: The Movement Toward a Celebrating Christian Community (典礼運動と典礼改革への貢献 ― 祝うキリスト者共同体を目指す運動),” Nanzan Journal of Theological Studies Supplement, March 2025, No 40, pp.1-37. 7. Alfonsus Afri DIETGER, “The Ministry of Deacons: A Study of Its History and the Euchological Text of the Mass for Diaconal Ordination (助祭職の奉仕 ― その歴史と助祭叙階ミサの典礼祈願文に関する研究),” Nanzan Journal of Theological Studies, March 2026, No 49, pp. 223-259. |
| 将来的研究分野 | 典礼運動、典礼刷新、典礼改革、典礼養成・典礼形成(Liturgical Movement, Liturgical Renewal, Liturgical Reform, Liturgical formation) |
| 担当の授業科目 | 1. 典礼学 (総論) 2. 典礼学(感謝の祭儀) 3. 典礼学 (典礼暦年) 4. キリスト教概論 5. 宗教論 6. キリスト教学基礎演習IIA 7. キリスト教学基礎演習IIB 8. キリスト教学演習I・IIA 9. キリスト教学演習I・IIB 10. キリスト教学演習IC・IIC 11. 研究プロジェクト |
キリストの神秘体における一致:典礼祭儀を通した個人主義問題の解決
20世紀の典礼運動の中心的人物の一人であるランベール・ボードゥアンは、当該運動を修道院的領域に限定するのではなく、小教区共同体を含むより広範な教会生活へと展開させることを試みた。その取り組みにおいて、彼は自ら展開しようとした典礼運動の思想を普及させるため、主任司祭たちの協力を得ながら働きかけを行った。この活動の中で彼は、典礼運動の妨げとなる問題として個人主義を指摘した。本稿における「宗教的個人主義」とは、信仰生活を教会共同体との関係性から切り離し、それを人間と神との私的な関係へと限定・還元する近代的傾向を指す。
ボードゥアンの理解において、宗教的個人主義はカトリック的理解と矛盾するものである。キリスト教の理解では、祈りをもっぱら個人的行為として理解することは逸脱であり、それによって霊的生活が自己と神との関係に還元され、教会共同体における祈りへの参与が軽視されることになる。キリスト教信仰は、本質的に教会の交わりの中で生きられる巡礼であり、個人の独立した旅ではない。こうしたあり方は、教会を一つの体として理解する意識を弱め、信仰共同体から距離を置く姿勢を生み出す。したがって、個人主義の本質的な問題とは、信徒が祈りと秘跡的生活において教会の一致から自らを孤立させようとする傾向である。
このような個人主義の問題に対して、ボードゥアンは、教会を目に見える生きた霊的な共同体としてとらえ、その一致の中で生きることを解決策として示している。個人的活動の重要性は認められるが、それは教会との交わりと一致に基礎づけられていなければならない。さらに教皇ピウス12世も、回勅『Mystici Corporis(MC)』および『Mediator Dei(MD)』において、同様の見解を明確に述べている。キリストの神秘体を中心主題とする回勅『MC』は、教会がキリストの体と称されるのは、キリストがその創立者であり、同時にその頭であるからだと教えている。一方、『MD』は典礼を「全キリストの礼拝」、すなわち capitis nempe et membrorum(頭であるキリストとその体である信徒)による礼拝であると定義している。全ての信者は、教会の教えによって定められたそれぞれの務めに従って、典礼の祭儀に参加する。司祭たちが感謝の祭儀のあらゆる行為においてキリストの現存を表しているように、信者たちも、自らの洗礼に基づいてキリストの祭司職に参与している。ピウス12世のこの二つの回勅は、いずれも、キリストの神秘体として一致した信徒たちの積極的な参加を重視していると考えられる。
教会は初めから、その祈りに常に共同体的な性格を与えてきた。たとえばミサにおいて、司祭が祈る場面では、司祭は自分個人の名によってではなく、キリストの名において(in persona Christi)、教会全体を代表して祈る。これは、祈りの共同体的性格と教会の一致を強調するためである。奉納祈願前の祈りにおいて、司祭は「...ut meum ac vestrum sacrificium...(私とあなたがたの生け贄が...)」と祈る。この生け贄は、単に司祭だけの生け贄(meum sacrificium)でもなく、また信者だけの生け贄(vestrum sacrificium)でもない。それは司祭と信者の共同の生け贄(nostrum sacrificium)なのである。従って、典礼への完全な参加を通して、司祭と信者、さらには信者相互の間において、霊的兄弟愛とキリストの神秘体における一致の意識がより深められるのである。