南山の先生

学部別インデックス

人文学部・キリスト教学科

RAJCANI,Jakub

職名 准教授
専攻分野 キリスト教倫理、倫理神学、生命倫理
主要著書・論文 J. RAJČÁNI, Identità e agire morale. Riflessioni sull’esistenza cristiana alla luce del pensiero di Romano Guardini, Roma: Aracne 2016.
“Good, Truth and Being: The Ethical Thought of Romano Guardini”, Studies in Christian Ethics 29 (4/2016), 424-436.
「徳の主体は誰なのか?——キリスト教の徳論に関する一考察——」『南山神学』40号(2017)、pp. 191-215.
将来的研究分野 諸宗教の倫理観など

人の生き方は色々ありますが、すべてが同じように良いとは限らない

私の研究は「道徳」を対象にしています。皆さんが高校で取っているかもしれない「倫理」と似ていますが、もっと厳密な、もっと狭い意味で倫理学です。ただの思想史や哲学ではありません。では、何かと言えば、人間の行動を善悪という視点から評価する学問、ただ分析や描写だけではなく、だいたいの人間はどうであるべきかについて規範を示す学問でもあります。もちろん、それは理想を述べるに過ぎず、多くの現実的な問題と向き合う必要もあります。ですから、人生と関係のある様々な難しい問題を扱わざるを得ませんし、最初から唯一正しい答えは出ませんが、それを各自で探っていくことにこそ意味があると確信しています。今まで人々が出した間違った答えからも学ぶものがあります。

最初は色々な情報があって、分からない用語も出てきますが、読書すればするほど視野が広がり、次第に情報の整理ができて、自分独自の観点が見出されることがあります。何かを知るためにはすぐ具体的な事例に飛びつくのではなく、やはり、その文脈や背景を知っておくことも大事です。私たちの思想は何でも天から落ちたものではなく、どこかにルーツを持っているものなのです。ですから、せっかくの大学教育全体もそうですし、それぞれの学部学科も広いカリキュラムを提供しているので、少しずつ様々な領域を齧ってみる価値があると思います。例えば、理系の人も全く文系の学問を無視すると、少し怖く危ない科学観が誕生しかねません。幸せにはただ機能している効率良い生活以上の何かが必要なのです。