南山の先生

学部別インデックス

人文学部・人類文化学科

菅野 裕樹

職名 講師
専攻分野 図書館情報学
主要著書・論文 Sugeno, Y., & Koizumi, M. (2024). Research Trends in Public Libraries as Public Spheres in Library and Information Science: Topic Modelling with Latent Dirichlet Allocation. Libri, 74(3), 289-304. https://doi.org/10.1515/libri-2024-0041 (共著)

Igarashi, T., Watanabe, M., Tomita, Y., Sugeno, Y., Yamagishi, M., & Koizumi, M. (2023). Public library events with spaces and collections: Case analysis of the Helsinki Central Library Oodi. Journal of Librarianship and Information Science. https://doi.org/10.1177/09610006221097405(共著)

菅野裕樹, 山岸素子, 照井ひなた, 鐵見咲希, 星 愛美, 梅木雄飛, 百花 葵, 小泉公乃. 研究文献レビュー:日本の公立図書館における経営形態:2016年以降の動向を中心に. カレントアウェアネス. 2023, (357), CA2050, p. 24-31. https://doi.org/10.11501/12996503 (共著)
将来的研究分野 多様性とポスト真実の時代における公共図書館の中立性
担当の授業科目 データサイエンス入門, 情報を読む, 図書館サービス論, 図書館経営・組織論, 情報資源組織演習Ⅱ

地域コミュニティの核に挑戦する公共図書館

 私は公共図書館について研究しています。皆さんの身近には、どのような公共図書館があるでしょうか。最近、インターネットのニュースでは、日本各地で新しく開館した図書館が紹介される機会が増えています。それは単に有名建築家が設計したり、珍しいデザインだったりするからだけではありません。デジタル技術が発達した現代において、紙の本を貸し出す場である図書館が、なぜ注目を集めているのでしょうか。

 その理由の一つは、図書館の役割が大きく変わってきていることにあります。現在の公共図書館は、「地域の人々が集まる場所」、いわばコミュニティの中心としての役割を担うようになっています。情報通信技術の発展やコロナ禍、外国人住民の増加といった社会の変化を背景に、人と人とのつながりの大切さが見直されてきました。その中で図書館は、誰でも無料で利用できる場所として、人々が出会い、交流できる場を提供しています。

 例えば、蔵書の内容にも変化が見られます。従来は文学作品が中心でしたが、現在では生活や仕事に役立つ本や、趣味、人間関係、進路などの悩みに応える資料も多くそろえられています。また、イベントも充実してきました。「親子おはなし会」や「ブックスタート」は、小さな子どもを持つ家庭にとって交流や情報交換の大切な機会になっています。さらに、「ウィキペディアタウン」と呼ばれる活動では、学生が地域の人々と一緒に地元の歴史や名所を調べ、その成果をインターネット上の事典であるWikipediaにまとめています。このような活動は、世代を超えた交流にもつながっています。

 設備の面でも新しい取り組みが進んでいます。例えば、「メイカースペース」と呼ばれるものづくりの空間では、3Dプリンターや動画撮影機材などを使って創作活動を行うことができます。こうした設備は、中高生の学びや創造的な活動を支える場として注目されています。また、「ティーンズエリア」という中高生向けのスペースを設け、放課後に友人と話したり、勉強したりできる場所を提供する図書館も増えています。

 このような変化についての研究テーマは、私の専門である図書館情報学(Library and Information Science)に含まれます。このテーマでは、図書館が社会の中でどのような役割を果たしているのか、そしてこれからどのような役割が求められるのかを明らかにしようとしています。公共図書館は、地域にとって重要な存在となっており、住民や行政からも大きな期待が寄せられています。

 さらに私は、図書館が民主的な社会にどのように貢献できるかにも関心を持っています。図書館は、多様な考えを持つ人々が集まり、情報をもとに考えを深めることができる場所です。このような場は、「公共圏」と呼ばれ、市民がさまざまな問題について話し合い、自分たちの意見を形づくるために重要だと考えられています。公共図書館は、地域の人々が共に考え、意思決定を行うための基盤となる可能性を持っているのです。皆さんも図書館へ足を運んで、新しいサービスや人との出会いを体験してください。