南山の先生

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人文学部・人類文化学科

和泉 悠

職名 准教授
専攻分野 言語哲学・意味論
主要著書・論文 『悪い言語哲学入門』(単著、2022年)、
『名前と対象 固有名と裸名詞の意味論』(単著、2016年)

将来的研究分野 デジタル社会における言語
担当の授業科目 人類文化基礎演習Ⅱ
人類文化学演習Ⅰ・Ⅱ
文献資料講読(西洋)
哲学・倫理学における人間の尊厳
人類文化学特殊講義(英米哲学)

身近なことばに哲学・倫理学的問題が潜んでいる

「クジラは肺呼吸をする」は、例外なくすべてのクジラが肺呼吸をする、ということを伝えます。一方「ライオンは人を噛む」だとそんなことはありません。世界にいるほとんどのライオンは人を噛まずに生きています。では、「高校生は遊んでばっかり」は一体何を表しているのでしょうか。例外なく高校生はみんな遊んでいる、などと考えるのはとんでもない偏見ですが、この文を否定できるでしょうか。人を噛むライオンが少しでもいれば「ライオンは人を噛む」と言えるわけですから、遊んでばっかりな高校生が少しでもいたら、この文は正当化されてしまうかもしれません。こうした文は「総称文」と呼ばれ、科学的一般化だけでなく、ステレオタイプや偏見を表すこともあり、哲学・言語学の分野で研究されています。

私は、特に日本語と英語を比較することにより、"the" といった定冠詞や「花子」といった固有名の分析など、自然言語の意味に関する基礎的研究を行っています。また基礎研究を応用して、上の総称文や、悪口、嘘といった、私たちから切り離せない、一癖ある言語使用のメカニズムを解明することを目指しています。最近は、SNS上での投稿を分析し、より健全な情報空間のあり方についても考察しています。