南山の先生

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国際教養学部・国際教養学科

神崎  宣次

職名 教授
専攻分野 倫理学
主要著書・論文 『ロボットからの倫理学入門』名古屋大学出版会(共著、2017年)、『宇宙倫理学』昭和堂(共編著、 2018年)
将来的研究分野 都市の持続可能性と倫理
担当の授業科目 サステイナビリティと生態系、PBL演習、Special Topics: Sustainability Studies B(Environment and Development Studies)

倫理学が関心を向ける対象とは?

私の専門は倫理学です。国際教養学部では持続可能性や環境問題を主に倫理の観点から検討する授業を担当していますが、自分自身の研究としてはロボットや人工知能といった技術に関連する倫理問題なども対象にしてきました。これらの技術はわれわれの生活の効率化に貢献する可能性もあるので、持続可能性の観点から見ても興味深い話題なのです。そして、これからしばらくは都市について研究していきたいと考えています。なぜなら、地球の総人口の半分以上が居住するようになっているとともに、自動運転などの多彩な技術が導入されていく空間であるため、都市は持続可能性と倫理を考える上で重要なテーマとなってきているからです。

倫理学という学問のよさの一つは、自分が関心を持てば、どのようなテーマでも成立するところにあります。私は上で述べたような関心を持っていますが、たとえば食と農業や、労働や、異文化理解だって、倫理が関係する側面を持っています。別の言い方をすれば、国際教養学部で扱われるような話題に関心を持つ人は、誰でも自分の関心の一部に倫理に関わる側面を見つけ出すことができるということです。関心を持つこと自体に、倫理の要素が含まれていると言ってもいいかもしれません。

もちろんこれは倫理学だけにあてはまることではありません。歴史や経済や政治といった他の分野でも、関連する問題をさまざまなテーマの中に発見することができるでしょう。自分が関心を持つテーマをさまざまな観点から眺めてみるのは、学生にとって重要なことです。その上で自分が一番こだわらざるをえないのは何なのかを真剣に考える機会が、どこかであるかもしれません。

そのタイミングは人によって違います。高校生のときかもしれないし、大学に入学した後かもしれない。私自身、最初は人類学を学ぶために大学と学部を選んだので、倫理学に関心を持ったのはずっと後でした。そもそも倫理学という学問があることも知らなかったのです。

自分が何に関心があるのか、自分がどういう人間なのか、意外と自分ではなかなかわからないものなのかもしれません。それを知ろうとするには、まず自分自身に関心を持たなければならない。実はこれこそが倫理という観点の一番核心にある事柄だと私は考えています。