南山の先生

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国際教養学部・国際教養学科

森山 幹弘

職名 教授
専攻分野 インドネシアの言語と文化
主要著書・論文 『多言語主義再考--多言語状況の比較研究』(共著)、 Words in Motion : Language and Discourse in Post-New Order Indonesia (共編著)、 Sundanese Print Culture and Modernity in 19th Century West Java (単著)、『東南アジア文学への招待』(共著)
将来的研究分野 インドネシアの言語政策、インドネシアの文化に見るロカリティー(地域性)とアイデンティティ、インドネシアの文化史
担当の授業科目 「グローバル・スタディーズ概論A/Introduction to Global Studies A」「グローバル化と文化・文学/Globalization, Culture, and Citerature」「Special Topics : Global Studies B (Cultural Studies)」

多言語社会インドネシア

インドネシアでは500以上の言語が話されていることを皆さんは知っていますか。そのうち14の言語は話者人口が100万人を越えます。多くの人が、最初に習得する民族集団の言語(インドネシアでは「地方語」と呼ばれています)と小学校に入学してから学ぶ国語インドネシア語とのバイリンガルです。ただし、近年はジャカルタなどを代表とする大都市生まれで一度も両親の民族集団の言語を学んだことがない人々の増加によって、インドネシア語しか解さない人が増加する傾向にあります。

スハルト体制の終焉(1998年)以後、インドネシア社会は政治的にも社会的にも、大きな変化を経験しました。強権的な政治体制が崩れたことを背景に、中央に対する地方の自治権が拡大し、急速な進歩を遂げたメディアを通してグローバル化の影響がインドネシア社会にも浸透したこともその一因です。

インドネシアの独立後(1945年)、長期間にわたり、国家統合のイデオロギーとして機能してきたインドネシア語による国語政策は世界に類を見ない成功を収めました。その一方で、強力な国語政策の下で「地方語」はその役割を限定され、封じ込められてきたとも言えます。そのような状況が、1998年を契機として変わったのです。「地方語」に課せられた頚木が取り除かれたこと、禁止されていた中国語の使用が解禁されたことなどによって、近年は公共の場においてより自由な言語使用が見られるようになってきています。加えて、英語が都市部を中心にして生活の中に急激に入り込んできています。これらの現象は、これまでのインドネシア語が担ってきた役割に変化が生じ、インドネシアの言語の様態全体に変化が生じていることを示唆しているように思われます。

インドネシアでは多くの人がバイリンガルです。皆さんも国際教養学科で英語に加えて、インドネシア語などのもう一つの外国語を学び、それらの言語を操って世界の様々な地域の人とコミュニケーションをはかってみませんか。たくさんの言語を学ぶことは、自分の世界を広げることにつながります。外国語のコミュニケーション能力を身につけ、グローバル化が進む国際社会で地球市民を目指して国際教養学科で学んでみませんか。

インドネシア・西ジャワ州の高校のスンダ語の授業風景