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外国語学部・ドイツ学科
畑野 小百合
職名 | 准教授 |
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専攻分野 | 音楽学、ドイツ語圏表象文化論 |
主要著書・論文 | „Der intellectuelle Urheber bin doch ich!“ Der Konzertagent Hermann Wolff als Wegweiser des Berliner Konzertlebens 1880 bis 1902 (Ph. D. Diss. Universität der Künste Berlin, 2018) |
将来的研究分野 | 西洋音楽史、芸術思想、芸術政策、音楽学教育 |
担当の授業科目 | 演習、ドイツ思想史、音楽A、文献講読(ドイツ語圏の文化)、ドイツ研究の基礎(言語・文化)、ドイツ語 |
ドイツ語圏の芸術研究
高校生のみなさん、こんにちは。「南山の先生」へようこそ。
私の専門は音楽学です。外国語学部のドイツ学科に所属し、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのドイツ語圏の音楽文化の研究をしています。作曲家や作品に関する研究も面白いですが、演奏家やコンサート・プロモーター(興行主)、批評家、楽譜出版社、楽器製作者、他の分野の芸術家、聴衆など、さまざまな人々が作用し合う場としての音楽生活を歴史的に考察することに特に関心があります。最初は雑多でまとまりのないように思えたさまざまなマテリアル(手紙や日記の記述、発表された文章、批評、上演作品、広告など)が、他の研究者の成果と響き合いながら大きな連関の中で捉えられ、何らかの価値観を体現するものとして見えてくるとき、とてつもなくゾクゾクして、研究の面白さを感じます。
特定の外国語を集中的に学ぶ場として外国語学部をイメージするならば、そこに音楽の研究者/教育者がいるというのは、不思議なことに思えるかもしれません。しかし、せっかく外国語を勉強するなら、その言語と密接に結びついた芸術についても理解を深めたいと思いませんか? その言語を使って人々が芸術についてどのようなことを議論しているのか、知りたいと思いませんか? その言語ができなかったら見えてこなかったかもしれない領域に、足を踏み入れてみたいと思いませんか?
私のゼミに所属する学生は、7割程度がドイツ語圏の音楽に関するテーマで、3割程度がその他の芸術領域のテーマで卒業論文を書きたいと考えています。楽器演奏やバレエなどの経験者も多く、これまでのドイツ学科での学びにおいて培ってきた言語や歴史に関する知識を活用して、ドイツ語圏の芸術に対する個々の関心をどのように学術的な研究にまとめられるかを一緒に模索しています。
私は、ドイツ語を共通言語として用いながら学生と議論できるこの環境に、大きな可能性を感じています。もちろん、ドイツ語圏の音楽が西洋芸術音楽のすべてではない(ドイツ語圏の国々に無批判に与えられがちな「音楽の国」の位置付けを疑うこともとても重要です)し、ドイツ語さえできればドイツ語圏の音楽文化が理解できるというものでもありません。とはいえ、ドイツ語が使えることで、取り組みの可能性が大きく広がることもまた事実なのです。
私のゼミに所属する学生には、他人の創造性に敬意をもって目や耳を傾け、そこから価値があると思えることを見つけ出し、自身が見出した価値を仲間により良く伝えるために頭を働かせる経験を多く積んでもらえたらと願っています。そのようにして得られる探究的な姿勢とコミュニケーション能力は、ドイツ語圏の芸術についての学びに限らず、人生をより楽しく、知的に興奮して生きることにつながると考えるからです。
芸術に関心をもつ高校生の皆さん、南山大学でドイツ語を学びながら、その関心をもっと深めてみませんか?