南山の先生

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外国語学部・ドイツ学科

中屋 宏隆

職名 教授
専攻分野 ドイツ経済・ヨーロッパ統合
主要著書・論文 ・「ヨーロッパ統合の経済史的展開」『一般経済史』ミネルヴァ書房、211-229頁、2018年。
・「1960年代の西ドイツ経済とエネルギー問題」『政策創造研究』第11号、5-27頁、2017年。
・「西ドイツの国際ルール庁(IRB)加盟問題 ペータースベルク協定調印交渉過程(1949年)の分析を中心に」『社会経済史学』第82巻3号、69-90頁、2016年。
将来的研究分野 ドイツのエネルギー問題、共通通貨ユーロ、初期ヨーロッパ統合の展開
担当の授業科目 ドイツの経済、演習(専門ゼミ)

ドイツの社会的市場経済の行方

近年好調と言われるドイツ経済ですが、ユーロ安を要因に輸出を伸ばしているだけではありません。国を挙げて環境政策や第四次産業革命に取り組み、徐々に国際競争力を高めていることがその背景にあります。また、戦後長きにわたって築かれてきた成長と安定を高度にバランスさせる経済システムが現在もなお健在です。通常、ドイツの経済システムを社会的市場経済と呼びますが、これは戦後ドイツの歴代政権が一貫して維持し続けてきたものです。

しかし、そうした伝統的な経済システムも、1990年にドイツが統一された後、経済が低迷する中で陰りをみせていました。そのため、2000年代に入って、社会問題化していた失業問題の克服に取り組み、低迷からの脱却を図りました。そうした労働市場改革とともに財政再建にも取り組み、大きな成果を上げてきました。近年、単年度では均衡財政を実現し、ドイツ経済の安定に大きく寄与しています。

こうしたドイツ経済の状況に対して、日本経済の状況はどうでしょうか。安倍首相就任と同時に開始した異次元の金融緩和政策は一定の成果を上げているものの、その他の成長戦略や財政再建の道筋は描けないままです。それは目先の成果に追われるがあまり、長期的展望に立って経済の発展を見通せていないことに起因しているのではないでしょうか。

日本も成熟した経済大国とはいえ、まだまだやるべきことはあるのではないか。そのお手本となってくれるのがドイツ経済とも言えます。あなたもドイツ経済をヨーロッパ的視野に立ちながら勉強してみませんか?