南山の先生

学部別インデックス

外国語学部・フランス学科

REBOLLAR,Patrick

職名 教授
専攻分野 フランス語学、文学研究への情報理論の応用、マザリナード文書の電子コーパス
主要著書・論文 「ネット上の文芸サロン」(puf社、2002年)(仏文)「コンピュータでフランス語を」(第11回フランス語教育学会大会報告集、1998年)(仏文)「フランス語ホームステイライヴ」(三修社、2011年)
「情報理論を応用したクロード・シモン研究」(「クロード・シモン2」ミナール社、1997年所載)(仏文)
将来的研究分野 インターネットを利用した新しいフランス語教育方法の開発と次世代型コーパスの構築
担当の授業科目 (水1)中級フランス語講読

ITメディアとフランス語

今日のわたしたちの生活はコンピュータ、スマートフォンなどがなくては1日も成り立たなくなっています。これはIT技術の発達によるものです。便利になったのは確かですが、いい面も悪い面もあります。そのことは皆さんもいろいろなところで耳にしているでしょう。

IT技術の恩恵を受けている先進国では、どこも同じような変化を体験しています。つまり、その点では日本もフランスも同じです。たとえば、皆さんのご両親やおじいさん、おばあさんの育った時代には「インターネット」などありませんでした。今は、パソコンの前に座れば、世界中の人とコンタクトが取れる時代です。

スカイプ、Twitter、Facebook、Line...など、いろいろなメディアがわたしたちのコミュニケーションを助けてくれます。実際に皆さんも毎日利用しているのではありませんか?また、2020年の新型コロナウイルスのような緊急事態に際しては、大学のLMSのようなプラットフォームやがまさに役に立ち、学生の皆さんがオンラインで授業を受け、適切な試験による成績評価がなされることを可能にしているのではありませんか?

地球の裏側にいる人と簡単に出会える。それは楽しいことでもありますが、注意も必要です。そして、何より、日本語だけでは、コミュニケーションが取れる相手が限られてしまいます。日本語のネイティブスピーカーは約1億3400万人。世界の人口は70億人を超えています。

そこで、外国の人とコンタクトを取るのに便利な言語を選びます。英語と中国語はたいへんよく使われていますが、フランス語もまた世界で重要な地位をしめる言語です。英語は中学から勉強しますので、ちょっとできる。さあ、ここでフランス語を加えれば、もっと多くの人とコミュニケーションが取れるのです。

フランス語はスイス、ベルギー、カナダのほかにアフリカ諸国でも使われ、29か国で公用語になっています。また国連や欧州連合、オリンピックなど、国際機関や組織の公用語でもあります。オリンピックの開会式では、入場国の名前がまず最初にフランス語でアナウンスされるのです。

ところで、コミュニケーションというのは、単に個人的なつながりだけではありません。事件報道やいろいろな人の意見、専門知識などをネット上で読むこともまた、コミュニケーションの一部です。

しかし、最初にも言いましたが、便利になった分、ネット上には危険もあることを心得ておかなければなりません。そもそも外国語のコミュニケーションにおいては、文法だけでなく、注意しなければならないことがたくさんあります。たとえば、相手国の文化や礼儀作法、習慣、歴史的背景など、知っておくべきことがいろいろあります。そして、忘れてならないのがメディアリテラシー。あふれる情報を前にどのような態度で臨むべきかという問題はこれからの社会の重要課題です。たくさんのツールがあり、わたしたちはそれを自由に使えますが、情報を探し、正しいかどうかを確かめるためには、それらのツールの使い方を学んでおかなければなりません(たとえば、ネット上の辞書、オンライン翻訳サービス、あるいは画像検索機能を使い単語がもつ複数の意味を考察するなど)

教室では外国語としてのフランス語を学びながら、インターネットでフランス語テクスト(書き言葉だけでなく音声も含めて)に接します。言葉を介し、仮想空間で「フランスという異文化」に接触しながら、ネット上での情報の扱い方、そして危険を回避するにはどのようにふるまったらいいかも一緒に考えます。こうした体験はかならず皆さんの母語におけるコミュニケーションにも役立つにちがいありません。