南山の先生

学部別インデックス

外国語学部・英米学科

上村 直樹

職名 教授
専攻分野 アメリカ政治外交史、国際政治学、日米関係論
主要著書・論文 ・『アメリカ外交と革命:米国の自由主義とボリビアの革命的ナショナリズムの挑戦、1943~1964年』(単著、2019年)
・“‘Liberal’America and Bolivia’s Revolutionary Challenge, 1952-1960, ”
The Japanese Journal of American Studies (単著、2017年)
・『戦後アメリカ外交史<第3版>』(共著、2017年)
・「対米同盟と非核・核軍縮政策のジレンマ」『国際政治』(単著、2011年)
・Nuclear Disarmament in the Twenty-first Century(共著、2004年)
・『なぜ核はなくならないのか―核兵器と国際関係』(共著、2000年)
・「ジェファソン政権の中立政策に対するフェデラリストの対応」『アメリカ研究』(単著、1999年)
・“Post-Cold War U.S. Foreign Policy Decision Making and Security Policy
toward Japan” 『広島国際研究』(単著、1997年)
・「米国の冷戦外交とラテンアメリカの革命」『アメリカ研究』(単著、1992年)

将来的研究分野 アメリカ外交と第三世界の革命、アメリカの同盟関係と核軍縮政策
担当の授業科目 南北アメリカとの出会い、国際関係論の基礎(日本とアメリカ)、国際関係論、アメリカの外交、歴史の諸相、Special Topics in English

「アメリカと国際社会:二つの切り口から」

アメリカは、18世紀末の建国後、1世紀以上続く孤立主義の時代をへて、20世紀初頭に世界の大国として国際政治に登場し、第二次世界大戦後は超大国として世界に多大な影響を与えてきました。アメリカという国は、その並外れた国力の大きさだけでなく、自由主義のイデオロギーの下で「理念の共和国」として発展した歴史と社会のゆえに、「普通の国」とは異なる部分を多分に持ち、国際社会と独特の関係を築いてきました。この「独特の関係」の究明が私の研究の中心テーマです。

そうした国際社会との「独特の関係」を解明するために私が注目し、重点的に研究してきた点の一つがアメリカと第三世界の革命との関係であり、もう一つがアメリカと同盟国との核兵器をめぐる関係です。前者については、第二次世界大戦後のアメリカが超大国として世界に君臨した時代は、アジア・アフリカの植民地が次々と独立し、ラテンアメリカとともにいわゆる第三世界として国際政治に登場した時期と重なります。共産主義のイデオロギーを掲げるソ連との冷戦と呼ばれる対立が深刻化する中で、アメリカは第三世界の革命運動や革命政権と常に緊張をはらんだ関係にあり、敵対的とみなした革命政権に対しては軍事介入や政権転覆を試みました。これはなぜでしょうか。さまざまな要因がありますが、私が特に重要と考える点の一つは、アメリカの自由主義イデオロギーの問題です。

建国以来のアメリカは、対外関係において自らの自由主義や民主主義のシステムとは異なる社会や国々との「共存」があまりうまくできませんでした。いわば「異質なもの」との共存の問題です。第二次世界大戦後のソ連をはじめとする共産主義との関係も広くはこの問題の一部であり、第三世界の革命との関係もこの問題にかかわる重要な点と考えます。こうしたアメリカの自由主義のイデオロギーや社会の仕組みと対照的で「異質な」社会や政治体制を実現しようとした第三世界の革命勢力とアメリカがどのような関係を切り結んできたか、そうした関係はアメリカというものを考えるうえでどのような意味を持つか、こうした問題を軸に今後もアメリカと国際社会との関係について長期的課題として取り組んでいきたいと考えています。

もう一つ、アメリカと国際社会との「独特の関係」を解明するために私が注目してきた点、すなわちアメリカと同盟国との核兵器をめぐる関係ですが、これについては私の講義の中でも詳しく説明していますので、本学で皆さんとともに学ぶ機会があれば、ぜひ一緒に考えていきたいと思います。