南山の先生

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外国語学部・アジア学科

中 裕史

職名 教授
専攻分野 中国近現代文学
主要著書・論文 『原典中国現代史』第5巻思想・文学(共著)岩波書店、『現代中国への道案内』(共著)白帝社
将来的研究分野 地域文学から見た20世紀中国
担当の授業科目 「中国文学研究」「アジア地域演習」「中級中国語Ⅰ読解」他

中国は広い 中国人は多い

みなさんは、地球上に存在する人の5人に1人は中国人だ、ということを知っていますか?つまり、かりに世界の全人口を100人とすると、そのうちの20人は中国人なのです。では、日本人は世界人口100人のうち何人になるでしょうか?・・・・これは計算してみてください。日本人は数の多さで勝負することはできません。世界で認められるためには、日本人にしかできない何かをやれる能力を磨いていくしかないということになります。

中国のGDPは2010年に日本を抜いて世界第2位に浮上しました。これまでのように「経済大国」日本と「発展途上国」中国ではなく、これからは、ともに「経済大国」同士として、時には摩擦やトラブルを賢くのりこえながら、新しい関係を築いていく段階に入ってきたということができるでしょう。

わたしは中国の文学を研究しています。文学作品にはいろいろな人物が登場します。この人物たちは、作家が漢字を用いて創りあげた虚構の人間です。しかし、虚構の人間であっても、現実の生身の人間をそのなかに感じることができます。それが感じられないものは文学作品とはいえません。ただし、文学作品に登場する人物に現実の生身の人間を感じとるためには、文学作品を読むだけでなく、現実の中国や中国人について知る必要があります。その距離の近さから「一衣帯水」といわれる隣同士の国ですが、みなさんはその中国のことをどのくらい知っていますか?

つぎの問いに答えてみてください。

  1. 政治経済
    問Ⅰ:中国の国家主席は誰でしょう?
    問Ⅱ:中国共産党の党員は何人いると思いますか?
    問Ⅲ:台湾の二大政党とは何党と何党でしょう。
  2. 歴史・文化
    問Ⅳ:『三国志』で諸葛孔明と知恵比べをする呉の都督は誰でしょう。
    問Ⅴ:「饅頭」を初めて作らせた『三国志』の登場人物は誰でしょう。
    問Ⅵ:台湾には温泉がいくつあるでしょう。
  3. 日本との関係
    問Ⅶ:21世紀以降、中国で最もヒットした日本映画は何でしょう。
    問Ⅷ:1931年夏の甲子園で準優勝した台湾の学校はどこでしょう。
    問Ⅸ:2019年度の訪中日本人数と訪日中国人数はどのくらい違うでしょう。
    問Ⅹ:およそ100年前に台湾で大規模なダムと感慨水路を建設した日本人は誰でしょう。

さしあたり、10の質問を書いてみましたが、このなかで何か知っていることはありますか?もちろん、中国や中国人を知るために大切なことはこの他にもたくさんあります。こうしたことは、中国と隣同士としてつきあいをしていく上で、われわれ日本人が知っておくべきことではないでしょうか。

いささか陳腐な言い回しですが、「グローバル化」(中国語では「全球化」)が進み、自給自足が困難になってしまっている現在、日本と中国は隣人として、互いに資源や食料品、衣料品、機械だけでなく、経験や技術も提供しあい、学びあっていかなければなりません。単独では生きていけないのです。これからは、日本や日本人のことを理解している中国人、そして中国や中国人のことを理解している日本人、こうした人たちの活躍する場が広くなっていくことでしょう。そしてそこはみなさんが将来活動する場所かもしれません。