南山の先生

学部別インデックス

経済学部・経済学科

丸山 雅章

職名 教授
専攻分野 日本経済論
主要著書・論文 “The Impact of Data Activities on Innovation Performance in Service Industries”
西崎文平、松多秀一、出口恭子、堀展子、北川諒と共著、2021年、
『New ESRI Working Paper』、No.53、内閣府経済社会総合研究所、pp. 1-71

「医療の質の変化を反映した価格の把握手法に関する研究―推計法の検討とレセプトデータによる試算―」、石橋尚人・桑原進・石井達也・川﨑暁・西崎寿美・村舘靖之・大里隆也・菊川康彬と共著、2020年、『ESRI Research Note』、No.56、内閣府経済社会総合研究所、pp. 1-86

「短期日本経済マクロ計量モデル(2018年版)の構造と乗数分析」、鈴木晋・川本琢磨・前田知温・堀展子・山崎朋宏・堀雅博・岩本光一郎と共著、2018年、『ESRI Research Note』、No.41、内閣府経済社会総合研究所、pp. 1-16
将来的研究分野 生産性に影響を与える要因に関する研究
担当の授業科目 日本経済論A,B、特別テーマ講義(政策)B、経済基礎演習、政治・経済の諸相

南山大学での教育、研究に当たって

 私は今年の4月に南山大学経済学部にまいりましたが、それ以前は旧経済企画庁・内閣府などで、GDPをはじめとする経済統計の作成に従事したほか、さまざまな統計を駆使して経済分析を行う業務に携わりました。こうした経験を、今後の本学での教育、研究活動に活かしてまいりたいと思っています。

 本学での授業は、日本経済論などを担当しています。経済に関するニュースを見聞きしない日はありません。またほとんどの人が「消費」という形で経済活動に参加しています。このように「経済」は身近な存在である一方、消費のほか生産、労働、貿易、金融、財政等、さまざまな側面を持っており、全体像を理解するのは難しいことでもあります。授業では、日本経済のさまざま側面について各種データを用いて解説するとともに、日本経済のこれまでの歩みを振り返り、直面する課題や政策対応についても説明することで、日本経済の全体像をできる限り体系的に理解できるようにしたいと考えています。大学で学ぶ期間は限られる一方、経済は絶え間なく変化する中で、卒業後もいろいろな形で経済と向き合っていくことになります。学生の皆さんにはこの授業を通じて、自らデータを収集して経済の動きを把握し、理解する力を身につけてほしいと思います。

 日本経済の当面の課題は、新型コロナウィルスの感染拡大を抑制したうえで、大きく落ち込んだ経済を安定的な成長軌道に戻していくことですが、その後も持続的に成長させていくためには、生産性の向上が不可欠であると考えられます。生産性を向上させるにはどうしたらよいか、これが、現在関心を持っている研究テーマです。本稿では、内閣府在職時に行った、生産性に関連した研究の概要について紹介したいと思います。

 従来、生産性の決定要因として、ICT投資、研究開発、人材育成などが重視されてきましたが、近年、データの利活用にも注目が集まっています。デジタル化の時代においてICT化を進めAIなどの新しい技術を導入し、生産性を向上させるためには、データの蓄積と有効活用が不可欠です。日本は、特にサービス産業の生産性の低さに直面しており、データの利活用の効果を測定し、データを効果的に利用する方法を見つける研究は有意義であると考えられます。

 そこで本研究(注)では、サービス産業5業種をカバーする大規模な事業所レベルのデータ(内閣府が20162018年度に実施した「組織マネジメントに関する調査」によるもの)を用いて、データの利活用がサービス産業におけるイノベーションのパフォーマンス(実現頻度)に与える効果について分析しました。その結果、①事業所におけるデータ利活用が盛んであるほどイノベーションの実現頻度が高いこと、②データ利活用がイノベーションに与える効果は、すぐれたマネジメントの効果と比肩しうる大きさであること、③「新規の商品・サービスやプロセスを導入する」イノベーションに対しては、事業所の意思決定が分権的であるほど、データ利活用の効果がより大きく出ること、がわかりました。

 本研究は、デジタル化時代におけるデータ利活用と事業所・企業のパフォーマンスの関係を分析するための第一歩です。本研究で事業所のパフォーマンス指標として用いたのは、生産性ではなく、イノベーションの実現頻度でした。今後は、本研究で用いた「組織マネジメントに関する調査」のデータに、他の統計調査などのデータを組み合わせることにより、データ利活用が生産性に与える効果について分析してまいりたいと考えています。

(注)"The Impact of Data Activities on Innovation Performance in Service Industries"
西崎文平、松多秀一、出口恭子、堀展子、北川諒と共著、2021年、
『New ESRI Working Paper』、No.53、内閣府経済社会総合研究所、pp. 1-71