南山の先生

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経済学部・経済学科

神野 真敏

職名 准教授
専攻分野 社会保障・理論経済学
主要著書・論文 Sekiguchi and Jinno, “BEVERIDGE VERSUS BISMARCK PENSION SYSTEMS: CONSIDERING FERTILITY RATES AND SKILL DISTRIBUTION,” Singapore Economic Review, Vol. 63, No. 5,2018, pp. 1141-1153.
神野・安岡、『日本の経済政策』、2020、中央経済社。
担当の授業科目 社会保障論、マクロ経済、経済政策

人を受け入れることについて考えてみませんか

 日本の経済は少子高齢社会に直面しています。そのため、今の社会保障制度が今後も持続可能かについて、多くの人が疑問視しています。皆さんはどのように思いますか。

 2004年に政府により年金制度が改革され、その改革は「100年安心」プランとうたわれました。しかし、多くの専門家やマスコミによって、そのプランの前提があまりにも楽観的過ぎると指摘され、年金制度を中心とした社会保障の信頼性は大きく揺らぎました。皆さんも、年金制度を中心とした社会保障について不安を抱いているのではないでしょうか。

 その不安の主たる原因は、少子高齢化による人口ピラミッドの不安定さでしょう。少ない人数で多くの高齢者を支える形、つまり、人口ピラミッドが逆三角形をしているため、その形が不安定で、高負担を容易に想像させるからだと思います。それでは、このような状態を打破するのは、どのような経済政策が良いと思いますか。

 将来世代の負担を軽減することを最優先に考えるのであれば、高齢者への給付を下げることも考えられますが、この給付は皆さんが高齢者になった時にも受け取るものですので、できれば高齢者になって不安になるのは避けたいものです。そのため、給付を維持しつつ、現役世代の低負担を実現するには、負担する人を増やすことが望ましいと考えられます。では、負担する数を増やすには、どのような政策をすればよいでしょうか。

 いくつか考えられるとは思いますが、まずは、①現役世代が増えるように出生率が改善するよう政策(ただ、この効果が出るのには時間がかかります)、次に②働けるのに働いていない人に働いてもらえるような政策(無理強いをすることにもなりかねず、そのための補償を考えなければなりません)、そして③海外から労働者を受け入れる政策(言語や文化の違いなど争いやその違いを理解するための追加的な負担がかかります)などが、主として考えられます。このような政策には、期待される効果とその効果を引き出すための財政的負担があります。この効果と負担を比較し、総合的に好ましければ推進すべきでしょう。

 その中でも皆さんは、海外から人を受け入れる③の政策について、どのように思うでしょうか。③の政策は、一人当たりの負担を低下させるだけでしょうか。海外から人を受け入れるということは、受け入れた人とともに生活をすることを意味します。生活をともにすることは、文化の衝突などさまざまな問題ももたらします。その一方で、新たな変化をもたらし進化にもつながります。つまり、人を受け入れることには、単に社会保障の改善だけでなく、追加的な負担をもたらすとともに労働の生産性の進化にもつながるかもしれません。好ましい結果、あるいは望ましくない結果、どちらになるかは、様々な視点からしっかりと考えてみないとわかりません。

 南山大学では、教育モットー「人間の尊厳のために」として、海外との結びつきを大切にしています。海外との結びつきを高めることの延長が、海外からの受け入れを意味することになるでしょう。この結果、社会保障に対してどのような影響をもたらすのか、政策の負担面と便益面を様々な視点から考えてみませんか。そして、その上で、社会保障の持続可能性の新たな可能性を一緒に考えてみませんか。