南山の先生

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経済学部・経済学科

岸野 悦朗

職名 教授
専攻分野 租税論、租税法
将来的研究分野 国際課税問題、納税者の権利救済のための不服申立制度の在り方
担当の授業科目 租税論、特別テーマ(政策)

みんなで考えよう日本の税制

皆さんは、「税金」についてどのようなイメージを持っていますか。まだ、税金を納めた経験がなく、分からないことが多いでしょうが、テレビドラマなどでは、よく時代劇で登場する「代官」(今の税務署長に相当する。)の大半が農民から強制的に年貢を取立てるといったストーリーが多いことなどからすると、いかにも「税務署は国民から税を搾取している。」と感じている方も多く(実際は代官といっても小身の一官吏でトラブルを起こせば責任を問われることからそのような事実はあまりなかったとされているのですが・・・。)、「税金は税務署から取られるものであり、あまり税金とは関わりたくない。」と感じている方が多いのではないかと思います。

税金については皆様が高校時代までに学習してきたように、所得税、法人税、消費税といった種類があり、これらはすべて国等の公的サービスに用いられている程度のことは理解されていると思いますが、この税金の内容や課税や徴収についてはすべて法律で定められており、税務署が法律に反して勝手に税金を取り立てることは禁止されています(すなわち、税務署は税金を取ることはしていない。)。むしろ、税務署は正直な納税者が損をしないように税金を納めない者に対する調査や徴収を通じて公平な課税の実現に努めることを日々の仕事としています。また、納税者から納めすぎた税金を還付することも税務署としての重要な使命となっています。

私は、これまで税務署をはじめ、大蔵省(現財務省)、国税庁、国税局、裁判所といった税財政に関わる実務機関に約33年間勤務してきました。どちらかというと、国税の職場は他の官庁に比べ融通が利かず、真面目な部署であったと感じていますが、私自身その中で常に「どのようにしたら納税者の皆様に税を理解していただけるか。」といったことを念頭において執務を行ってきました。この目標を達成させる1つの方法が、若者に対する租税教育です。特に大学生は近い将来社会人・企業人として活躍が期待されるなか、納税者として税に深くかかわることになることから、大学生に対する租税教育が必要となります。

ところで、近年の我が国では少子高齢化、グローバル化、高度情報化といった社会経済が大きく変化のしつつあり、その中で公的サービスの対価としての税の果たす役割はますます重要となり、経済活動を行う上でも税の影響は大きなものとなってきています。さらには、企業等の海外活動の進展に伴い国際面での種々の税金の問題が生じ、こうした新たな時代に向けての税制の在り方が問われています。これらの環境変化のなかで若い世代の方々が将来の日本の経済社会の担い手として今後の税財政の在り方を提言していくことも役割の1つであると思います。これまで、まだあまり経験したことのない税の現状、問題点、今後の課題等について一緒に勉強してみませんか。