南山の先生

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経営学部・経営学科

後藤 剛史

職名 准教授
専攻分野 応用ミクロ経済学
主要著書・論文 『法の経済分析-契約、企業および政策』(共著、勁草書房)。
「技術開発促進システムの経済分析」(『現代経済学研究』第7号)。
将来的研究分野 企業と法の経済分析
担当の授業科目 「企業論」他

企業の経済学的分析

コンビニエンス・ストアは、皆さんにとってなじみ深い企業の一つです。コンビニには数社あることもご存知かと思います。それぞれのコンビニはお客を獲得しようと様々な行動をとります。コンビニの行動の一つとして、店舗の立地を考えてみましょう。

実は、それぞれのコンビニは、(特に都心において)それほど離ればなれには立地していません。コンビニAとコンビニBはわりと近い距離にある、というのは皆さんも利用していてお気づきかと思います。なぜわざわざ近くに出店するのでしょうか。この問題を経済学の道具を使って考えてみましょう。使う道具は、ホテリングという経済学者が1929年(!)に考え出した手法です。まず、1mごとに1人ずつ消費者がいる、100mの直線の街があるとします。この直線上に、コンビニAが出店しようとしています。あまりに遠いお店だと、消費者は来てくれないかもしれません。コンビニAはどこにお店を出せばいいでしょうか。答えは真ん中、50mの位置です。こうすることによって、最も遠い消費者でさえ移動する距離は50mで済むからです(75mの位置に出店するとどうなりますか?)。こうして、コンビニAは50mの位置に出店しました。次に、別のコンビニ Bがこの街に出店しようと考えています。もしコンビニが2店になれば、消費者は自分に近いほうのコンビニに行くでしょう。さて、コンビニBは、どこにお店を出せばいいでしょうか。答えは、真ん中の50m、Aの隣りなのです。なぜわざわざ隣に出店するのでしょうか。仮に、ちょっと離れた25mに、Bが立地したと考えてみて下さい。このとき、0~25mにいる人はBの方が近いのでBに行きます。50~100mにいる人はAの方が近いのでAに行きます。AとBに囲まれた25~50mの地域では、ちょうどその真ん中(37.5m)でお客を分け合うことになります。結果として、Aは63人のお客を獲得できるのに、B は37人のお客しか獲得できません。このように考えていくと、Bがお客さんを最も獲得できるのは、Aの左隣り(右隣でも同じことですが)に立地したときです。このとき、0~50mにいる50人をBが、50~100mにいる50人をAがそれぞれ獲得します。このようなちょっとした数学的パズルと格闘した皆さんは、その後、「あっ!」と思うはずです。「たしかに、2つのコンビニは近くに立地した!すごい!」。もし皆さんがこういうふうに感動していただけたなら、ぜひ経営学部の「企業論」を受講してみて下さい。