学部別インデックス
経営学部・経営学科
姜 秉国
職名 | 教授 |
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専攻分野 | 経営工学 |
主要著書・論文 | 「Optimal stopping problem with double reservation value property」 European Journal of Operational Research, Vol.165, pp765-785, 2005 |
将来的研究分野 | 「最適停止問題」「スケジューリング問題」 「立地問題」「経営戦略分析」 |
担当の授業科目 | 「オペレーションズ・リサーチ」 「ビジネス・シミュレーション」「経営戦略論」「経営演習」 |
取るか取らないか
我々は日常生活の中で、将来のある時点までにある決定をしなければならない意思決定問題によく直面します。例えば、1ヶ月後に購入するマンションの代金支払いのために手持ちの株や土地などの資産の一部をできるだけ高く売るとか、2ヶ月後の生産に必要な原材料ないし部品をできるだけ安く仕入れるとか、等々です。
これらの問題に共通しているのは、1)いま手にしているチャンスを取るか、それとも将来やってくるかも知れないより良いチャンスに賭けるか、という点と、2)必ず将来のある期日まで一つのチャンスを取らなければならないデッドラインがある、という点です。そこで問題は、あまりにも早くあるチャンスを取ると、将来現われるかもかも知れないより良いチャンスを逃すことになるし、逆に何も取らないでデッドラインを迎えると、その時点で現われるチャンスの価値がいくら低いものであってもそれを取らざるをえないところにあります。すると、いつ、どのようなチャンスを取るべきか、われわれは毎回目の前に現われるチャンスに対して取るか取らないかを決定しなければなりません。
このような状況の中での意志決定には、いま手にしているチャンスの価値の大きさ、デッドラインまでに残された期間、その他にこの問題状況にかかわる諸パラメータ(チャンスのやってくる確率、やってくるチャンスの価値の分布など)がその最適決定ルールの構造に大きく関係してくることは言うまでもありません。このようなタイプの決定問題を最適停止問題(Optimal Stopping Problem)と呼び、そこで求めるのは期待利得を最大にする最適決定ルールとそのルールが持つ性質です。
人生は意思決定の連続です。われわれ人間が行う決定は必ずしも最適なものとは限りません。間違った決定が命取りになることもしばしばあります。皆さんにも失敗の経験が一度二度はあるはずです。その経験を生かしてどうすればよいのか答えを探してみませんか。新しい問題をみつける感性を磨き、その問題をきちんとした枠組の中で議論する訓練をするところが大学です。