南山の先生

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経営学部・経営学科

安藤 史江

職名 教授
専攻分野 経営組織論、組織学習論、人的資源管理論
主要著書・論文 『コア・テキスト組織学習』(単著、新世社、2019年)、『組織変革のレバレッジ』(安藤史江ほか、白桃書房、2017年)、『コア・テキスト 人的資源管理』(単著、新世社、2008年)、『組織学習と組織内地図』(単著、白桃書房、2001年)
担当の授業科目 「経営組織論A・B」「意識調査法」ほか

やる気に満ちた会社にするには?

突然ですが、みなさんが会社の社長になったときのことを考えてみましょう。どんな会社であれば、新製品を次々に生み出したり、大きな利益をあげられるような強い会社になると思いますか?

この問いには、さまざまな答えが考えられます。たとえば、アイディアが伝わりやすいような組織構造にする、1人1人の成果にきちんと報いる報酬・昇進システムを用意する、新しいことへの挑戦を支援する組織文化にする、などがそうですね。どれも強い会社づくりにとっては重要なことです。でも、これらにはもっと大切で、注目すべき1つの共通点があります。それが何だか、みなさん、お気づきですか?

答えをいいましょう。それはどの取り組みも、「1人1人の社員がやる気をもって仕事ができるようになることを目指したものである」ということです。せっかくのアイディアも、社長など組織の上層部に伝わる前に潰されてしまうようでは、出す意味がありません。また、成果をあげてもそれを認めてくれない会社では、誰も頑張る気になれないでしょう。そんな会社で「やる気を持て」という方が、無理な相談といえます。

厳しいようですが、このような1人1人の社員がやる気を持てない会社に、まず成功はありえません。短期的には1人の天才がいれば十分かもしれませんが、長期的に見ると、たとえ凡才でも、やる気に満ちた多くの社員がいる方が会社にとっては望ましいからです。

やる気のある社員を獲得し育て上げることこそ、強い会社づくりの基本といえます。したがって、みなさんが社長になった場合には、表面的な出来事や戦略にばかり気をとらわれていてはいけません。いつでも原点や本質に戻り、「それは、社員のやる気を引き出しうるか」と自問自答することが必要になるのです。

こうした考え方をもとに、やる気に満ちた会社づくりの具体的な方法を考える「お手伝い」をするのが、これからみなさんが学んでいく経営組織論です。経営組織論では、働く人々が「やる気」を持つためには、どのような条件が必要なのか、または、どのようなメカニズムが求められるのか、などについて、様々な理論や考え方を学んでいきます。あわせて、望ましいと考えられるリーダー像や職場環境についても学習します。

中には、理論を学ぶだけでは、つまらないと思う人もいるかもしれません。そこで、そのような人たちのために、実在する会社の事例研究や実際の社員を対象にしたアンケートの結果も織り交ぜながら、授業を進めていきます。ときには、みなさん自身にワークをしていただくこともあります。みなさんが本当に会社を経営するようになったとき、また、何らかの組織を運営する立場になったとき、この授業で得た知識を上手に役立てていただけたら、これに勝る喜びはありません。