南山の先生

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その他・体育教育センター

畑山 知子

職名 准教授
専攻分野 健康科学(高齢者の健康づくり)
主要著書・論文 『健康と運動の疫学入門、医学出版、共著、2008』、「傷害を伴う転倒未経験の地域在住高齢者における転倒発生と体力および身体的要因との関連、体力科学、共著、2008」、「農村地域住民の精神的健康度と首尾一貫感覚、厚生の指標、共著、2008」
将来的研究分野 健康づくりの実践研究(健康づくりのプログラム開発と評価、コミュニティと健康との関連)、からだの感覚
担当の授業科目 「基礎体育」「スポーツ実技」「健康科学論」

からだ、動かしましょう!

私は、運動習慣や体力の高低が転倒や疾病の発症にどう関わっているか、ということに関心を持っています。

みなさん、普段どんなふうに1日を過ごしていますか?ちょっと紙とペンを準備して、24時間、睡眠や食事、授業、部活など、どれくらいの時間、どんな活動をして過ごしているか、書き出してみてください。さて、その中で、テレビを見たり、ゲームをしたり、パソコンに向かっている時間はどれくらいありますか?

メタボの略称でみなさんに浸透したメタボリックシンドローム。これは、高血圧や糖尿病、高脂血症(血液中にコレステロールや中性脂肪がたくさんある状態)などの動脈硬化の危険因子が集積した病態で、生活習慣、とくに運動不足との関連が指摘されています。では、どのくらい動かないと、メタボになりやすいのでしょうか?

「動かないこと」をテレビの視聴やコンピューターの使用時間を指標としてメタボリックシンドロームとの関係を調べた研究1があります。すると、余暇での身体活動レベルが高い群に比べて低い群ではメタボリックシンドロームになる人が多かったのですが、身体活動レベルが中程度の群でも、テレビの視聴やコンピューターの使用時間が1日当たり2時間未満の人に比べて、3時間以上の群では、メタボリックシンドロームのリスクが約3倍という結果が示されました。

たった1時間の差で!?と思うかもしれませんね。でも、この1時間が日々何年も積み重なっていくと、活動的な人とそうでない人では大きな差を生むことになるのです。テレビやコンピューターを使っている時(ゲームに置き換えてもいいかもしれません)は、あっというまに時間が過ぎていて、いつも3時間以上だよー!という人もいるでしょう。

私は1年次の体育で、エアロビクスやフィットネスを担当していますが、クラスの初めには「体力が落ちた・・」という声をよく聞きます。受験であまり身体を動かさずにいた人が多く、鈍っているみたいです。大学生になると、部活動や運動系のサークルに所属していなければ、ほとんど定期的に身体を動かすことはない、という人が多くなると思います。一方で、パソコンに向かう時間は増えて・・・。身体は使わなければ衰えます。メタボのリスクも増えますね。大学での体育は、これまでの体育とは少し違って、身体を動かして手入れするための時間(機会)として捉えてみてはいかがでしょうか?

私の授業では、自分のからだと向き合って生活を見直したり、目標を設定してトレーニングしたりしながら、授業を通して自分のからだの変化を観察するということを行っていきます。授業をきっかけとして、活動量を増やし、将来メタボにならないために、というよりは、皆さんが自分の夢を実現していくとき、強力にサポートできるひとつの資源となるように、健康なからだづくりを始めてもらいたいと思っています。

ところで、南山大学は、どこからアクセスしても最後に坂道を登らなければいけません。「え~!!」と思った人もいるかもしれませんね。坂道の傾斜は、緩やかだったり、急だったり、どの門を選ぶかによって様々。でも、このことは、南山大学生にとって一つのメリットかもしれませんよ?ぜひこの環境も利用して、皆さんの未来を支える"からだづくり"を始めましょう!

1 Bertrais S., et al.:Sedentary behaviors, physical activity, and metabolic syndrome in middle-aged French subjects. Obes Res., 2005; 13: 936-944.