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その他・教職センター
平見 真希人
| 職名 | 講師 |
|---|---|
| 専攻分野 | 教育心理学,学習科学 |
| 主要著書・論文 | 協同場面における知識統合を妨げる発話(認知科学,共著,論文) 協同場面における発話内容が学術論文の批判的読みに及ぼす影響(心理学研究,共著,論文) 協同場面における共同注意の観点に基づく発話が算数の問題解決に及ぼす影響(心理学研究,共著,論文) |
| 将来的研究分野 | 協同での問題解決を通じて個人の認知過程がどのように変わるかについて |
| 担当の授業科目 | 教育方法論(ICT活用を含む),学校教育心理学,教職実践演習 |
協同時の他者との対話は,理解をどのように変えるのか
私の専門分野は、教育心理学・学習科学です。特に、協同での問題解決を通じて、個人の認知過程がどのように変化するのかに関心をもって研究しています。身近な言い方をすれば、「人と一緒に考えることによって、一人ひとりの理解や考え方はどのように深まるのか」を明らかにしたいと考えています。
学校の授業では、ペアワークやグループワーク、話し合い活動など、他者と協力しながら学ぶ場面が多くあります。しかし、他者と一緒に活動すれば、必ず学びが深まるわけではありません。同じグループ活動であっても、考えが広がることもあれば、表面的なやりとりで終わってしまうこともあります。では、どのようなやりとりが学習者の理解を深め、どのようなやりとりが問題解決や知識の統合を妨げるのでしょうか。私はこの問いを、心理学の視点から検討しています。
これまでの研究では、協同場面における発話に注目してきました。たとえば、協同で問題を解く場面では、「わからない」「無理かもしれない」といった発話が生じることがあります。こうした発話は、学習者のつまずきを表す重要な手がかりである一方で、場面によっては相手の思考や問題解決を妨げる可能性もあります。また、相手の考え方に注意を向ける発話や、自分の考えを説明し直す発話は、互いの理解を調整し、より深い学びにつながる可能性があります。
私が特に重視しているのは、協同学習を「単に一緒に活動すること」としてではなく、「他者との相互作用を通して個人の認知が変化する過程」として捉えることです。相手に説明することによって自分の理解の曖昧さに気づいたり、相手の質問によって別の視点から考え直したり、共通の対象に注意を向けることで問題の捉え方が変わったりします。このように、他者との対話は学習者自身の理解のあり方を変えていく働きをもっています。私はこれまで、心理学実験や授業実践の中で生じる協同学習中の発話を分析し、協同的な学習がどのような条件のもとで効果的に働くのか、どのような発話内容だと問題解決がうまくいかないのかを明らかにしてきました。
南山大学では、主に「教育方法論」と「学校教育心理学」の講義を担当しています。教育方法論では、授業をどのように設計し、児童生徒の学びをどのように支えるかについて扱います。学校教育心理学では、学習、発達、動機づけ、学級集団、生徒指導、教育相談など、学校教育を心理学の視点から理解するための基礎を学びます。いずれの授業でも、理論を知識として覚えるだけでなく、それを実際の教室場面や子どもたちの学びの理解にどのように生かせるのかを考えることを大切にしています。
教育心理学や学習科学は、「なぜ人は学ぶのか」「どのような環境で学びが深まるのか」「他者との関わりは理解にどのような影響を与えるのか」といった問いに向き合う学問です。大学で学ぶことを通して、「教えること」や「学ぶこと」を当たり前のものとしてではなく、探究すべき現象として見つめ直してほしいと思います。授業中の何気ない一言、友人との話し合いの中にも、人の理解が変わる重要なきっかけがあります。そうした学びのしくみを一緒に考えていければと思います。