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その他・教職センター
市川 哲
職名 | 講師 |
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専攻分野 | 教育心理学、教育相談、特別支援教育 |
主要著書・論文 | 大学生の自閉スペクトラム症傾向と将来志向コーピングと精神的健康との関連の検討 市川 哲, 井澤 信三 LD研究 32(4) 312-323 2023年12月 学校教師による不登校児童生徒への予防的指導支援方策-PISA 方式(不登校激減法)について- 市川 哲, 工藤 弘 学校カウンセリング研究 23 45-52 2023年3月 |
将来的研究分野 | 児童生徒学生へのポジティブで予防的な指導・支援についての研究 |
担当の授業科目 | 学校教育心理学、教育相談、特別支援教育論 |
学校教育現場で役立つ理論と実践について
私は発達障害や不登校等、学校現場で困難を抱える子どもたちへの指導と支援の方法について、実践と研究を行ってきています。特に着目しているのは、子どもたちのもつ「強み」や「ポジティブな行動」です。子どもたちが困っていることやネガティブな側面ばかりを見るのではなく、一人ひとりがもっている強みなどのポジティブな側面に目を向けることで、子どもたちへのより良い支援の形が見えてきます。この支援方法を私は「ポジティブ生徒指導」と呼んでいます。子どもたちが学校で安心して過ごし、自分らしく学べるようにするためには、どのような関わりや環境づくりが必要なのかを考える必要があります。そのために私は、学校現場で働く先生方との連携を通して、現場で役立つポジティブ生徒指導の実践理論の構築について、教育心理学の応用的な立場から検討しています。
研究や理論というと、「難しそう」「実践とは関係なさそう」「現場では役に立たない」等と思う人もいるかもしれません。また、私たちは一人ひとり異なる個性を持っているため、全ての人に当てはまる理論は存在しないかもしれません。それでも私は、大学院で学んだ「理論と実践の融合」ならびに教育心理学の知見を学校現場に応用することに関心を持って研究を進めてきています。
学校現場の先生方が日々行っている優れた実践に注目し、それがなぜ効果的なのかをデータに基づいてエビデンスベースで検証することを通して、実践方法の定式化を試みています。そして、他の多くの先生方にも活用可能な再現性のある実践理論を構築することを目指しています。このように実際に学校現場で役に立つ理論を構築していくことが私の目標です。それにより学校教育に微力ながら貢献できればと考えています。
教育心理学の理論を学ぶことで、子どもの発達や特性、行動の理解のための基礎知識、子どもへの指導・支援方法等の応用についても学ぶことができます。それにより、子どもの気持ちに寄り添う力や教育実践力の土台が得られます。もし皆さんが将来、学校の先生になりたい、人の支えになりたい、そんな思いを持っているなら、教育心理学は非常に役に立つ学問です。たとえ皆さんが学校の先生にならないとしても、教育心理学を学ぶことで自分自身や他者、集団への理解が深まります。将来、学校に限らず会社や家庭等、人と関わって生きていく中できっと役に立つ場面が多いと思います。
ICT機器の発展・活用が著しい現代だからこそ、これからの学校には、子どもたちの多様な個性やニーズを理解し、共に成長していける教育実践家が必要だと考えています。私自身、南山大学で教職の授業を担当する教育実践家として学生の皆さんと関わることで、学生の皆さんから多くの学びを得てきています。それは私自身の教育実践家としての成長が促されただけではなく、上記の「ポジティブ生徒指導」実践理論の構築についても学生の皆さんからの意見が非常に参考になっています。ともに学び、よりよい授業や教育をつくっていく仲間として、皆さんとお会いできる日を心から楽しみにしています。