南山の先生

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米津 直希

職名 准教授
専攻分野 教育学・教育経営学
主要著書・論文 ・『新自由主義大学改革~国際機関と各国の動向~』(共著、2014年)東信堂
・「ニュージーランドにおける学生自治会の法的地位をめぐる位置づけの検証―大学運営・政策決定及び質保証への学生参加の観点から~」大学評価学会年報『現代社会と大学評価』8号(単著、2014年)
将来的研究分野 学校(大学)経営組織、学校(大学)と地域の連携、教員養成・大学における学生の学び
担当の授業科目 学校教育制度論、学校カリキュラム論、教育行政論

大学(学校)は誰のものか?

私の研究関心は、学部生の時に所属していた「体育会」という学生団体での体験から始まっています。当時は大学(特に国立大学)が大きく変化しようとしている時でした。学生団体としても、どのようにその変化に対応していくべきかを考える状況にありました。大学公認の団体ではありましたがあくまで学生、さほど大きな役割は担えません。とはいえ、大学に認められた体育会系の部活動の取りまとめ役でしたから、その役割もそれなりに大きいと自覚していました。学生は、大学の一員として大学でどのような役割を果たすのか、大学において学生はどう位置づくのか、ということが、教育経営学を学ぶきっかけになりました。

大学で学生がどういう役割を果たすべきか、学生がもっと大学に「参加」して大学のあり方を変えていくべきではないか、学生に自治が認められるべきではないか、等の議論が、学生が増えた1960年代に盛んになりました。これは「学生運動」として一部が激化していき、社会問題にもなりました。その反動もあって、こうした活動は沈静化していきます。現在でもなくなったわけではありませんが、皆さんにとって「学生自治」「学生運動」という言葉は、馴染みのない言葉になっているのではないでしょうか。

一方で、2020年は新型コロナウィルス感染症の影響により大学は閉鎖、オンライン授業での教育活動が実施されることになりました。多くの学生がそれぞれの苦境を訴えましたが、個別の訴えが大学に届くとは限りません。学生全体の声を代表するような場がないこと、その背景として、学生は大学の構成員ではなく教育サービスを受ける消費者であるという考え方が強くなってきたことは、その一因となっていると感じています。一方で、「高等教育無償化プロジェクトFREE」という学生団体が、学生の状況をアンケート調査で把握し、文部科学省へ支援要請をするなど、新たな動きも生まれています。

私の研究は、こうした事例などから、時代状況も踏まえつつ、大学における学生の位置付けや役割、そこでの学びの意味などについて考えること、またその延長として、学校教育における児童生徒の自主的な活動の教育的意義や、民主主義の担い手の育成としての活動の位置付けを考えていくことにあります。

当事者である学生の皆さんと一緒に考えていきたい問題です。