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本学理工学部の名倉正剛教授が、2021年ソフトウェアテスト技術振興協会 善吾賞を受賞

2021年4月16日

南山大学理工学部ソフトウェア工学科の名倉正剛教授が、2021年「ソフトウェアテスト技術振興協会 善吾賞」を受賞しました。本賞は、ソフトウェアの品質向上に寄与する学術的な論文を顕彰するために、学術雑誌や学術シンポジウム等で発表された日本語論文を対象にASTER善吾賞選考委員会が毎年選出するもので、2019年10月から2020年9月に発表された論文のうちで最も優秀な論文として選出されました。

受賞論文のタイトルは「コーディング規約違反メトリクスに基づきソフトウェア変更に対して不具合混入を予測する手法」(情報処理学会論文誌,Vol.61,No.4,pp.895-907,2020年4月)で、ソフトウェアに対して変更を行った際にその変更部分が、いわゆる「バグ」のような不具合を含まないかどうかを判別するための手法です。この研究では、きたない(=「書き方」のマナーを守らない)プログラムコードには、不具合が含まれることが多いだろう、という仮定に基づき、実際にオープンソースソフトウェアプロジェクトを分析しその仮定を実証し、その結果に基づきソフトウェアを変更する際に変更箇所に不具合が含まれるかどうかを判別する手法を提案しました。きたなさと不具合の混入にはソフトウェアプロジェクトに依存せずに関連があることを実証した結果、判別対象プロジェクトと異なるソフトウェアプロジェクトに関するデータの学習によって、対象プロジェクト自体のプロジェクトデータの分析の必要なく不具合混入を予測できるようになり、そのことが評価されました。

名倉教授のコメント

この研究は、普段ソフトウェアを自分自身で開発している際になんとなく認識していた、きたないソフトウェアコードは不具合を発生させるのではないか、という至極当たり前のことを共同研究者と会話しているうちに着想したもので、この当たり前の着想を基になんとか研究成果に結びつけることができました。言うまでもなく現代ではいろいろな場面にソフトウェアが活用され、多くの方々がその生産に関わっています。しかし、その保守や運用は場当たり的に行われており、当たり前の経験則がソフトウェア工学の体系として明確化されていないことが多いことを、実際の開発現場からも聞いています。今後もそのような状況に対して工学的なアプローチによって少しでも生産性を向上し、昨今提唱されている「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進に貢献できるよう、研究を続けていきたいと思います。

名倉教授に授与された賞状