南山大学

 

メイルマガジン EPISTOLA

No.9

「クリスマス聖式」

2017年12月20日

12月に入って寒い日々が続いていますが、皆さんお元気でしょうか。今月はカトリック教会でもさまざまな行事が予定されています。その中でも一番大きなイベントはクリスマスです。25日のクリスマスへ向けて、人々は「待降節」(アドベント)と呼ばれる時期を過ごします。文字どおり、イエスの誕生を希望のうちに待つ日々のことです。クリスマスの4つ前の日曜日から始まります。今年は12月3日からです。ちなみに、日本でも見られるようになったシュトーレンと呼ばれるドイツのパン菓子もこの時期のものですね。

大学では先日、降誕祭・クリスマス聖式が神言神学院大聖堂で執り行われました。これは学生および教職員向けのイベントです。本学学生の降誕祭実行委員会が主催し、管弦楽団や聖歌隊の協力により開催されています。オルガン演奏や合唱が美しく響き渡る大聖堂に集う学生たちは、イエスの誕生を物語る福音書からの朗読に聴き入り、しばらくの間、黙想します。イベントの中心は、学生による「感謝の祈り」です。文化会系クラブ代表、体育会系クラブ代表、大学祭実行委員会代表、留学生代表、そして降誕祭実行委員会代表により、2017年中のさまざまな事柄に対する感謝の心が祈りとして捧げられたのち、灯りをともしたろうそくが奉納されました。

当日、大聖堂に集った皆さんの黙想を助けるためにお話したことを記します。

――これからしばらく、ご一緒に、『ルカによる福音書』の言葉を味わいながら、自分自身にとっての2017年という年を振り返ってみましょう。まず、朗読箇所の前半部分に心を向けましょう。福音書の著者ルカは、ローマ皇帝アウグストゥスやシリア州総督キリニウスの名前を出し、人々に課せられた「住民登録」に言及しています。このデータから、ルカがイエス誕生の年を私たち福音書の読者に伝えようと意図しているのがわかります。
――たとえ皇帝の勅令が出ていたからとは言え、身重で旅を続け、旅先で出産することになったマリア。また、そのようないいなずけを気遣いながら旅を導いたヨセフ。そして、宿屋に部屋が無いため、家畜小屋で生まれ、飼い葉桶に寝かされたイエス。一見すると、この旅の途上にある家族3人のいずれもが、苦労の多い大変な運命の下に置かれてしまった印象があります。――しかしながら、『福音書』が伝える物語の後半部分は、ここから別の方向へと大きく展開していきます。ルカは、私たち読者の視線を、家畜小屋の飼い葉桶に寝かされた幼子から大空へ、ベツレヘムの町をおおう、星の輝く夜空へと導きます。――その夜、一番初めに天使のお告げを聞いたのは、夜通し、寝ずに羊の群れの番をしていた羊飼いたちでした。夜勤で働いていた羊飼いたちに天使が告げたのは、ベツレヘムの町で飼い葉桶に寝かされた幼子は、決して不幸な運命の下に生まれた子供ではなく、むしろ、民全体・あなたがた皆の救いのためにお生まれになった方、主・キリストであるという、驚くべきメッセージでした。

――天使のお告げを受けた羊飼いたちが、その後にどのような行動をとったのかについて、皆さんはご存じでしょう。羊飼いたちは幼子を捜し求めてベツレヘムにたどり着いています。本学の第一研究室棟近くのメインストリートわきに設置されている「幼子降誕の飾り付け」(プレゼピオ;クリッペ)に、その物語の続きが表現されています。――さて、イエス誕生の場面から、皆さんはそれぞれどのようなことを学ばれたでしょうか。住民登録のためにどうしてもベツレヘムへ旅立たなければならなかった家族。旅の途中で生まれ、泊まる宿も無く、家畜小屋の飼い葉桶に寝かされた幼子。これは、平凡な家族にとって、ある意味で非日常的な出来事であったといえます。しかし、この旅が、夜勤の羊飼いたちによる、民全体に与えられた「救い主の発見」へと展開しました。――ところで、皆さん一人ひとりの2017年はどのような1年だったでしょうか。ヨセフとマリア、そして幼子イエスが経験したような「旅」はありましたか。夜勤の羊飼いたちが経験した「大きな喜びのしるし」の発見はありましたか。静かに思いめぐらしてみましょう。

南山大学長 鳥巣 義文

発行人:南山大学長

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