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ECとは、electronic commerce(電子商取引)の略。つまり楽天市場でショップを運営するクライアントに、効果的な販売戦略や広告戦略をアドバイスし、売上をサポートするのがECコンサルタントの仕事です。
いえいえ(笑)。コンサルティングのスタイルは人によってさまざまですが、私は可能な限り直接お会いするようにしています。時間別の売上や閲覧数などのデータを細かく分析して、新商品の仕入れ内容やタイムセールなどのイベントを提案するのですが、ただ資料を送信するのと、お会いして話をするのとでは温度の伝わり方が違うんですよ。細かな数字が並ぶ難しい資料も、目を見ながら一つひとつ説明すると、「あなたが言うならやってみるか」ということになる。その笑顔が見たくて、先週は2日間で750キロ走破しちゃいました。クライアントにパートナーとして認めてもらい、モチベーションを引き上げることができた瞬間が一番うれしいですね。
ええ、さまざまな業界や商品に携わる人に出会えるのもこの仕事の魅力です。たとえば私が1年目に任されたクライアントに、手品用品のショップがありました。
ですよね。だから当初の売上も大きくはなく、先方の担当者も「日本にいるマジシャンは僅かなので、こんなもんだよ」という感じでした。そこで「それならマジシャン予備軍を取り込みましょう」と提案したんです。それから人気マジシャンが出演するTV番組をチェックして放送直後にメルマガを配信したり、ショップのページも素人の方や子供の興味を引くような親しみのあるデザインに変えました。するとみるみる売上が伸び、半年後には手品部門全体の50%を占めるまでになったんです!業界や商品の特性を勉強して適切なアプローチ法を見い出せば、驚くべき速さと大きさのレスポンスが得られる。この1件でネットビジネスの醍醐味を体感することができました。
あったら教えてほしいです(笑)。でもひとつ言えるのは、消費者がモノを買う条件はひとつではないということです。価格、品揃え、配送方法、広告の印象やイベントのタイミング、気分…。それらを総合的に捉える多面的な視点と、連動した戦略を立案できる複合的な思考力が必要で、それは大学時代に総合政策学科で身につけた問題解決能力が大いに役立っていると感じます。その甲斐あって、入社2年目の今年は北海道でトップレベルの営業成績をキープできているんですよ。

ええ。「グローバルでナンバーワンのインターネットサービス企業」をめざす楽天では、世界各国から優秀な人材を採用しています。ですから社内は「小さな国際社会」といった感じで、実に国際色豊か。社内連絡のメールも、会議も、ちょっとした打合せも英語で行うことが多いです。会社の方針や戦略を深いレベルで理解し、仲間と上手く連携して業務を進める上で英語は欠かせないスキルであり、仕事のパフォーマンスに直結する力だと思います。大学1年からE.S.S.(英語クラブ)に所属し、週3回のディスカッションで鍛えた英語力を存分に発揮していますよ。
そうなんです。北海道の大手の水産会社を担当させていただくことになり、この冬、数億円の広告費をかけてプロモーションを展開します。実は今、日本のカニ市場のシェアは北陸が第1位で、日本にカニを輸出するロシアも北陸を最重要拠点と考えているようです。だからこのプロジェクトには、「カニ市場における北海道のシェア奪還」というまた別の目的もあるんですね。『カニと言えば北海道』というイメージと実績を、全国の消費者にアピールしたい。そして最終的には、北海道の水産業界全体を活性化できるよう、必ず案件を成功させたいと考えています。
もちろんです。地域活性、さらには国の経済発展につながるポテンシャルを秘めているのがネットビジネスの面白さですから。今後も全国、そして世界に、魅力ある商品を効果的に発信しながら、北海道、そして日本の経済を元気にしていけたらと思っています。
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実は私、南山大学に入学するまでに2浪しているんですよ。かと言って高校時代に所属していた陸上部でもそれほどいい成績を残してはいない。つまり成功体験がなかったんです。だから大学では何か大きなことに挑戦したいと考えていました。それでまず1年の夏に、大学の掲示板のポスターを見て「RASA(フィリピンで学校建設のボランティアを行うプログラム)」に参加したんです。私にとって初めての海外だったんですが、そこで目にしたのはゴミの山で暮らす人々やストリートチルドレン※。もちろんそれまでも情報として知ってはいたんです。家族と夕飯を食べながら、「かわいそうな人たちもいるんだね」とニュースを見ていた。でもね、実際に直面すると食事なんて喉を通らなくなるんですよ。他人事ではいられなくなる。もっと世界の現実を知らなくてはと強く思い、アルバイトで資金を貯めて世界一周の旅に出発しました。
※ストリートチルドレン:親などに保護されることなく、路上で寝泊まりする家を持たない子どもたち。生活苦から犯罪に手を染めるケースもあり、発展途上国を中心に社会問題となっています。


日本からフィリピン、マレーシア、タイ、カンボジア、ベトナム、ラオス、インド、バンコク、ネパール、アラブ首長国連邦、トルコ、シリア、ヨルダン、イスラエル、エジプト、ケニア、エチオピア、ウガンダ、ルワンダ、タンザニア、ギリシャ、イギリス、ドイツ、スペイン、アメリカ、カナダを回りました。移動はほとんど長距離バスを利用し、行く先々でJICA※1やNGO※2を訪ねてボランティア活動などに参加しました。ウガンダでは孤児院で子供たちと触れ合い、ニューヨークではレコード会社のインターンシップ※3にも挑戦しましたね。
※1 JICA:独立行政法人 国際協力機構。青年海外協力隊やシニア海外ボランティアの派遣など、発展途上国に対する開発援助に取り組んでいます。
※2 NGO:Non-Government Organizationsの略。政府や国際機関とは異なる民間の立場から、貧困や環境など世界的な問題に取り組む、利益を目的としない団体のこと。
※3 インターンシップ:学生が興味ある企業や団体で一定期間研修生として働く制度。社会で働く上で必要な力を獲得するほか、就職のミスマッチを防ぐ目的もあります。

最も印象的なのはインドのバラナシという町で学校建設に携わったことです。メンバーは日本人旅行者7名と現地の作業員。トラックドライバー、お坊さん、NGOスタッフ、学生など、年齢やバックグラウンドの違う仲間と協力しながら、学校に行けない子供たちのためにフリースクールを建てる作業はとても有意義で面白く、当初1週間程度としていた予定を1か月半に延長し、最後まで参加しました。またイスラエルにいる時に空爆が起こったことも衝撃的でした。目の前で人が人を傷つける現実はただただショックで、怒り、悲しみ、やるせなさ、空しさ…負の感情すべてが混同したような気持ちになりました。その時、現地で日本人ジャーナリストに出会い、パレスチナ問題の実態を学ぶことができたんです。パレスチナ人たちはガザ地区という場所に集められ、そこへ攻撃が行われている。彼女から聞く事実に愕然としました。しかしこうした情報は日本ではあまり報じられません。私も日本に帰ったら一人でも多くの人にこの現状を伝えなくてはと思いました。
数えきれません(笑)。たとえばネパールではヒマラヤに向かう途中、バスの中に財布を忘れてしまって。降りた瞬間に気づいて、たまたま通りかかったバイクの現地人に事情を説明し、バスを追いかけてもらいました。映画みたいでしょ。で、バスに追いついて乗客に財布のことを聞くと、みんな「知らない」って言うんです。でもバイクの人、ウタムという人ですが、彼が町のリーダーみたいな人で、一人ずつと話をしてくれて、結局返してもらえたんです。ウタムとはそれが縁で友達になり、今でも交流を続けています。こうした経験の中で、トラブル…は困りますが、旅のハプニングはむしろ歓迎できるようになり、スペインではヒッチハイクしながら国を縦断しました。第2言語でスペイン語を学んでいたので、現地の人と現地の言葉でいろんな話ができたのもいい思い出です

まずは、人との出会い。国籍や年齢を超えて、世界のことを真剣に考えて行動する仲間に出会えたことは大きな刺激になり、私をより自由で積極的にしてくれました。人との出会いは一瞬で一生。せっかくつながった縁なら、つなぎ続ける努力をするべきだと、これは今の仕事でも実践しています。そして旅を通して、何事も自分でやってみなくちゃわからないことにも気づかされましたね。テレビやネット、人から聞いた情報だけで“分かったつもり”になってしまうことの怖さと愚かさ。実際に自分で見て、感じて、行動することにこそ価値があるのだと実感しました。
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政治、経済、文化、環境、宗教など、多岐にわたる視点から複合的に物事をとらえ、解決策を判断し、具体的にどう行動するのかまで考える総合政策学部の学びを通して、決断力、実行力、そして圧倒的に自分の道を切り開く力が備わったと思います。ゼミでは開発経済学を研究し、経済の視点から貧困をとらえ、その地域や国を成長させるためにどんな政策が必要かを掘り下げていました。実は、世界一周の旅に出たきっかけはここにもあったんです。
タンザニアのナイルパーチについて学んだ環境政策学の授業が忘れられません。ナイルパーチとは魚の名前で、ファストフードの魚フライなどに使われています。もともとイギリス付近に生息していたんですが、美味しくて需要があるからと、タンザニアのビクトリア湖に放流され繁殖したんです。これにより、ビクトリア湖の生態系は崩れ、固有種は半減してしまった。経済面ではプラスとなり、環境面ではマイナスの結果となったこの出来事をどう捉えるか。それはとても興味深いテーマで、世界一周の際もタンザニアでナイルパーチを扱う企業を訪ね、社長さんと話をしてきたんですよ。

先程のイスラエルの現状をはじめ、世界が抱える問題を多くの人に伝えたくて、授業や、オープンキャンパスのトークライブなどでたびたび講演させていただきました。でも、講演会だけじゃないんです。旅を通して本当にたくさんの人に出会ったので、その方々とコラボしてさまざまなイベントを企画・開催し、その都度大学の力を借りました。たとえばアートディレクターの水谷浩二さんとCOP10※に関連したイベントを行った時は、準備期間10日というタイトなスケジュールにも関わらず、大学が全面的に協力してくれたおかげで無事成功させることができ、本当に嬉しかったですね。
※COP10:2010年に名古屋市で開催された、生物多様性の保全を目的とする国際会議。世界179の締約国が参加した。
そうですね。私に続き、何人かの後輩が世界一周へと旅立ちました。別に世界一周じゃなくてもいいんですが、私の行動や経験が後輩たちにいい刺激を与え、新しいことに興味を持ってくれたり、何かをスタートさせるモチベーションにつながれば、こんなに嬉しいことはありません。後輩たちがさらにその後輩たちに影響を与え、前向きなチャレンジ精神が大学全体に広がっていくといいなと思います。
学生のどんな申し出にも真剣に耳を傾け、実現させる手段を一緒に考えてくれる。自分が動きさえすれば必ずチャンスをつかめるのが南山大学です。だから思い切って挑戦しようと勇気が湧くんですよね。実は世界一周の旅を計画した時、両親は反対したんです。それを説得してくれたのはゼミの先生でした。そのおかげで、私はかけがえのない経験をすることができた。入学時、自信のなさや将来への不安で心が塞ぎ、暗闇の中にいた自分は、卒業時には眩しいほど明るい自分に変身していました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

南山大学は、地球市民として生きる上で必要な力を与えてくれる大学です。海外で学ぶ機会も多いし、学内で外国人留学生と交流する機会も豊富。そんな中で、自然と国際的な教養や人間性が身につくのだと思います。私の勤める楽天では、約400名の同期のうち1/5が外国人。業務連絡や会議の多くが英語で行われますし、国際的なコミュニケーション能力がなければ上手く仕事を進めることができません。今後は日本でも雇用の国際化がさらに進むでしょうから、どんな分野をめざすにしても、専門知識に加え、外国語と国際教養は必須。南山大学で、楽しみながらそれらを吸収してください。
(2012年11月)
2012年11月現在

| おくむら ひろや | ||||
| 奥村 宏也 | ||||
| 楽天 ECコンサルタント | ||||
| 2011年3月 | 総合政策学部 総合政策学科 | |||
| 2006年4月 | 南山大学総合政策学部総合政策学科入学 |
| 2006年夏 | RASA(フィリピンで学校建設ボランティアを行うプログラム)に参加 |
| 2008年8月〜2009年7月 | 大学を休学し、世界一周の旅へ |
| 2009年9月 | 復学 |
| 2010年10月 | アートディレクターの水谷浩二氏とCOP10の関連イベントを企画・開催 |
| 2011年3月 | 南山大学総合政策学部総合政策学科卒業 |
| 2011年4月 | 楽天株式会社入社 市場事業 北海道エリアグループに所属 |