




大学時代はどんな学生生活をお過ごしでしたか。また、特に印象に残っていることは。
よく勉強しました。授業のない日も図書館に行っていましたから。特に、先生方からはスペイン語を徹底的に鍛えられました。大教室でスペイン語劇をやったり、各大学の学生が集まってスペイン語の弁論大会を行ったことも、良い思い出です。外務省に入ってからというもの、ほとんどスペイン語圏を担当してきましたから、南山で学んだことを一生の糧にしてここまで来たと言っても過言ではありません。もちろん、外務省に入ってからも、仕事や現地の人との交流を通して、大学で培った語学力に磨きをかけ、能力をさらに伸ばすことに努めました。おかげで、私のスペイン語は表現力豊かで深みがあると自負しています。
中部地方の中で、南山大学は海外に対して最も開かれた大学。今もそうですが、当時も外国や語学に関心があれば南山大学に進学するのが一番という定評がありました。また、南山大学での4年間で、無意識のうちに国際感覚を身につけることができたと思います。留学経験もない私が、実際に外国に行った時に萎縮することなく、のびのびと自分らしくふるまい、外国の人たちと仕事を続けることができたのは、南山で醸成された国際感覚のおかげだと思います。
先生が、教室で世界や異文化にまつわる様々な雑談をしてくれたことがとても印象に残っています。もっとも、僕らが話を聞きたいばかりに、わざと脱線させるようにしたんだけれど(笑)、先生がそれに応えてくださった。あの頃、名古屋はまだ発展途上で、世界の国々は遠い存在だった。その時に、「世界はこうなんだよ」、「もっと世界に目を向けなさいよ」って、雑談を通して僕らの背中を押してくれたのだと思います。
南山大学では、外国人教員や、留学生が多く在籍しています。また、日本語禁止のワールドプラザを設置したり、海外の大学と提携しワークショップを開催するなど、学生たちが身につけた語学力を活かせるような環境づくりもしています。
さらに、外国語学部では、外務省や国際機関で活躍する先輩から直接話を聞く「国際社会で活躍する人材養成特別プログラム」も実施しており、学生には常に世界に目を向けるように、メッセージを送り続けています。このような環境と、国際経験豊かな教授陣からの学びが、学生の知的好奇心を高め、優れた卒業生の輩出につながっていると思います。



大学時代にぜひやっておいて欲しいと思うことをお聞かせください。
知識を吸収するだけでなく、得た知識をどう活かすのかを考える。これが大事なことです。自分が何をしたいのか、どうありたいのかを見つけることができれば、日本と外国の垣根は、すぐに乗り越えられる。自分の行く方向が決まったら、自信を持ってまっすぐ突き進んでください。
これからは、日本人は日本の国内だけで仕事をしていれば良いという時代ではありません。ですから、ぜひ南山大学の学生には、外国に行って仕事をする、日本を発信する、あるいは日本と外国の架け橋となる、その役割を担って欲しいと思います。南山大生のレベルは非常に高く、国内のみならず、世界のどこに行こうと充分通用する力を持っていますから、自信を持ってチャレンジして欲しいと思います。また、いったん外国に出たら、皆さんは「日本人」なんです。日本人として何を訴えられるのか、日本人としてどんな存在感を示すことができるのか、自分の核となるものを大学時代に培っていただきたいと思います。
たぶん皆さん、語学の勉強で毎日四苦八苦していると思いますが、語学はあくまで「手段」であって「目的」ではありません。目的は、その言語を使って相手国の政治や文化やメンタリティを理解すること。そこに政治とか経済とか、自分の専門分野をどれだけ積み上げられるかが大事なんです。そういう意味で、語学を身につけた上で世界に羽ばたいて欲しいし、そのような人材育成こそが南山大学の教育に期待するところです。
ラオス大使、ボリビア大使として成し遂げたいことは何ですか。
今年は日本とラオスの外交関係を樹立して55周年になります。この間に何代もの大使がおられて、その下には何人もの大使館員がいる。何年も前からラオスに進出して頑張っている日系企業もあるし、ボランティアや海外青年協力隊、JICAの専門家の方など、多数の方が様々な分野で頑張ってきています。その積み重ねが、現在の日本とラオスの関係を創っています。私は大使という職責をいただきましたけれど、この短い期間で何かを成し遂げるという大それたことを考えるより、55年間、皆さんが地道に蓄積してきたことによって醸成された、ラオス側からの日本への信頼感を裏切らず、さらに拡大する、そのワンステップをさらに積み上げることができれば、私に課せられた仕事は達成されるのではないかと思っています。
私の場合も、歴代の大使がこれまで築いてきた日本とボリビアの友好関係を維持して、次の大使に引き継ぐことだと思っています。当面の目標をお話すると、ボリビアは電気自動車などに不可欠なリチウムの一大資源国で、世界の埋蔵量の約半分が眠っていると言われています。日本にとって非常に重要な資源であるリチウムを確保する道筋をつけることが、私の責務であり、目標です。

最後に、南山大学を目指す高校生にメッセージをお願いします。
高校生って可能性が無限大に広がっているから、それを無駄にしないで欲しいと思います。「利用する、活かす」という言葉をスペイン語で“アプロベチャール(aprovechar)”って言うんですけど、いま自分がもっている若さと可能性を大いに“アプロベチャール”していただきたいと思います。
中部圏、あるいは日本だけという視点で生活を送っていると、日本は世界から取り残されてしまいます。次世代を担う皆さんには、世界で今何が起こっているか、どんな問題があるのか、常に危機感をもって世界に目を向け、行動して欲しいと思います。
南山大学の卒業生からお二人のように外交の第一線で活躍される人材を輩出し得たことは、まさに「個の力を、世界の力に。」という本学のビジョンを体現するもの。今日お二人の話を伺ってそれを強く実感しました。渡邉大使もおっしゃったように、皆さんの前には大きな可能性が広がっています。ぜひ、南山大学の扉を開け、ここで大いに学び、大いに鍛えて、「個の力」を「世界に貢献する力」に育てていって欲しいと思います。私たちも、皆さんの成長を全力でサポートします。
(2010年9月21日 大学内にて対談)