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取 材 鈴木 綾(アジア学科 3年)

 毎年南山大学恒例の行事となっている野外宗教劇「受難」の季節がやってきた。今年で38回目を迎える。部員は本番を目指して準備を進めてきたが、例年になく台風の多かった今年は当初予定していた10月9日に台風22号が最接近したため、当日の講義がすべて休講となり、劇の上演も翌週の10月16日に延期された。日程の変更により観客の集まりが心配されたが、約250名と予想以上に多くの人が名古屋キャンパス「パッヘ・スクエア」へ足を運んでくれた。午後6時の開演となる夜の暗闇の中、神秘的な照明と重厚な音楽に包まれた舞台では、イエズスの暖かな雰囲気が観客の目をいっそう魅了した。

 イエズスを中心に展開される「受難」とは、キリスト教用語でイエズス=キリストが捕らえられて十字架にかけられるまでに受けた苦難を意味する。南山大学では毎年、野外宗教劇部が「受難」というタイトルを受け継ぎながら独自の解釈を加えて脚本を書き下して役作りをするため、年によって演劇のカラーが異なる。今年の「受難」では貧富の差がなく誰もが平和に暮らせる国(「神の国」)を求めるそれぞれの人物の思いが強く表現されていた。
 「部員一同、役作りのために昨年や一昨年のビデオを見て演技を考え、過去の作品を意識しながら自分なりの役作りに力を入れた」と長谷川優主幹(経営学部経営学科3年)は語る。野外宗教劇の部員だけではなく、管弦楽団、吹奏楽団、観世会、南山スコラカントールム、LLC、アヴァンギャルド、心理人間学科の皆さんの協力を得て、満足のいく上演となった。カーテンコールでは「感動」と「涙」で満ち溢れた笑顔が輝かしかった。
 今後も南山大学「野外宗教劇」は伝統を守りつつ、新たな演出と脚本を取り入れながら毎年違った趣を見せてくれるであろう。よりいっそう多くの観客に南山独自の「野外宗教劇」の魅力と感動を届けてくれることを期待する。