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【中日新聞提供】

 中日新聞社主催2004年国際シンポジウム「明日の世界―真の豊かさを求めて」が3月26日、名古屋市中区の名古屋能楽堂で約600人の参加のもと開催された。
 1998年にアジア人として初のノーベル経済学賞を受賞したアマーティア・セン米ハーバード大学教授が基調講演を行った。インド出身のセン氏は、貧困や失業、搾取の問題を基本に捉えた経済学研究の第一人者。基調講演では、世界は繁栄を謳歌する一方で貧富の差が広がり、それがテロを招く大きな原因になっていることを指摘し、世界を挙げて貧困の緩和に取り組む必要性を強調した。
 基調講演に続くパネル討論では、セン氏と本学のハンスユーゲン・マルクス学長、奥野信宏名古屋大学副総長、浜矩子同志社大学ビジネススクール教授の4氏が参加。「絶えない地域紛争やテロ事件について力の行使の是非が国際的な議論を呼ぶ中、その背景にある発展途上国の貧困問題・失業問題を考え、真の国際貢献のあるべき姿、日本の果たすべき役割は何か」について活発な議論を交わした。
 セン氏の講演でマルクス学長が象徴的に感じた言葉は「貧困の軽減」。「『貧困の軽減はそれ自体として価値あるだけでなく、テロや無秩序を廃するためにも大変役立つ』という発言が印象に残った」と言う。また日本とアジア諸国との関係において、ドイツの国策としての交換留学制度の充実を例に挙げ、それが現在の欧州連合での中心的な位置につながっていることを指摘。日本の外国人留学生受け入れ制度について「日本は中曽根内閣の時、ようやく留学生受け入れ増大の方針を打ち出し昨年目標に達した。しかし、最近、治安問題が起こると再び引っ込めてしまいそうで気がかりである。とにかく若い世代に託して欲しい。そのために権力の座にいる人は、事がおこるとすぐ引っ込めてしまうのではなく、しっかりした20年、30年先の展望を持って前向きにやるという気概を持っていただきたい。そして南山大学では、今後も留学生への支援を増やしていきたい」と留学生制度の充実を述べた。

【中日新聞提供】