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 4月27日より30日まで、南山大学、アジア欧州財団(シンガポール)、ルアーヴル大学(フランス)を主催者とし、日本学術振興会「国際研究集会」プログラム他の後援により、アジア・ヨーロッパ・ワークショップ「人間のためのグローバリゼーションを求めて―精神文化に依拠した社会運動の貢献―」が、名古屋ガーデンパレスを会場として開催された。4月26、27日、5月1日に設定されたオプショナルツアーも含め、学内外の多くの方々の協力をいただき、無事に終了できたことに感謝し、共同企画者が報告する。



 本ワークショップの発案はルアーヴル大学のダーウィス・クドリ氏によるもので、2003年2月より私もその企画に賛同し協力することとなった。日本において宗教は、個人的な心の問題と受け取られがちであるが、国外においては社会的に人々の連帯を妨げるマイナスの働きをすることもあれば、また逆にその連帯を取り持つプラスの働きをすることもある。世界のさまざまな地域には、宗教やその他の精神文化を背景に、グローバリゼーションの悪影響から地域社会を守り、その改善のために活動をしている実践家たちがいる。彼らに加え、そうした精神文化について考察している研究者が一同に会し、それぞれの経験を共有し新たな連帯の可能性について模索する場として、本ワークショップの構想が打ち立てられた。
 この企画は、アジア欧州財団の知的交流プログラムからの支援も得られることが決定したため、私たちはアジアとヨーロッパから均等に参加者を集めることに努め、結果的に国外22カ国から46名の参加者を迎えることができた。そこには研究者と実践家の双方が含まれ、また男女もほぼ均等に招くことができた。またアジアとヨーロッパの双方から基調講演者もお招きすることとした。人選には紆余曲折があったが、最終的に、タイ仏教社会活動家スラク・シワラク氏、ロンドン・スクール・オヴ・エコノミクス名誉教授アイリーン・バーカー氏、元世界キリスト教協議会・超教派開発基金事務局長ヴォルフガング・シュミット氏とともに、作家・池澤夏樹氏にご講演をお願いすることができたことは幸いであった。なおインドネシア前大統領ワヒド氏も直前まで参加をお考えくださっていたが、国内情勢のために断念されることとなった。このため残念ながら、本学アジア学科・アジア研究センターで企画されていた同氏の講演会が中止を余儀なくされたことを申し添えたい。
 招聘者を含めて約100人の参加者が議論を行うために、4日間の会期はもちろん充分ではない。しかしながら本ワークショップは、グローバリゼーションの是正のために世界各地で研究・実践を行っている方々の新たなネットワークづくりの一つの起点となりえたのではなかろうか。本ワークショップ開催に向け尽力された実行委員会の諸氏とともに、本学がそうした国際貢献にささやかな寄与をなしえたことを喜び合うこととしたい。
 (奥山倫明 南山宗教文化研究所 人文学部助教授)