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 冬の訪れを感じる11月29日、愛知県芸術劇場コンサートホールで、70人の南山大学管弦楽団と44人のOB・OGらによる秋の定期演奏会が行われた。本定期演奏会は毎年春と秋に開催され、まもなく50周年を迎える伝統ある演奏会である。今回は、客演指揮にNHK交響楽団アシスタントコンダクターとして活躍し、世界的にも高い評価を受けている岩村力氏を招いた。あいにくの雨模様にも関わらず南山生をはじめ、父母、OB・OG、他大学生など1500人以上の観客で会場が溢れた。
取材 佐分あずさ(ドイツ学科3年)大宮あゆみ(総合政策学科1年)

 この演奏会は『ブラームス作曲 交響曲第四番』をプログラムの主軸(メイン曲)とし、『ブラームス作曲 大学祝典序曲』、『ドビュッシー作曲 小組曲』の全3曲を演奏した。選曲は管弦楽団員全員で意見を出し合い、皆が納得するまで話し合って決めることになっているが、今回のメイン曲を選ぶ際はいつもに増して頭を悩ませ、決定までに時間がかかったそうだ。「難しいだけでなく、一般的にもよく知られた曲なので失敗や妥協が許されないというプレッシャーがあったためです。しかし、決定後、中途半端な練習はしてきていないので、管弦楽団の熱い想いが会場いっぱいに伝わる演奏になるはず」と演奏会前に奥村元樹主幹(人文学部人類文化学科3年)は胸を張って語ってくれた。
 この日の演奏会に向けて団員たちは6月から半年間ほぼ毎日練習を積み重ねてきた。時間的な拘束と厳しい練習内容はかなり辛い。「しかし、その厳しい練習があってこそ、演奏会が終わったあとの達成感が味わえる。一生懸命やっていなければあの感動は得られないのです」と語るのは後藤好江主務(外国語学部英米学科3年)。また、質量とも厳しい練習に耐えられるのは、クラブ全体が家族のような強い絆があるからだそうだ。練習は「師弟制度」という独特のスタイルで、3年生がそれぞれ1年生を弟子に一対一で指導する。そのため、1年生にとって3年生は親、2年生の先輩は兄姉であるかのような意識が芽生え、お互いの関係が親密なものとなる。その言葉を聞いたせいか、筆者は素人ではあるが、彼らの演奏の節々に「楽器を通して固くつながっている」管弦楽団員同士の連帯感があり、さらにそれは客席で聴き入る多くのOB・OGをも巻き込んでいるように感じられた。
 さらには客演指揮者の岩村氏のタクトとも信頼で結ばれた演奏は、1,500人を超える観客を満足させ、大成功に終わった。奥村主幹は「自分たちの演奏ができたと思います。主幹としての責任感に加え、先輩である4年生の卒業と弟子である一年生のデビューの記念の意味もあり、僕にとって今までにはない演奏会でした。最後は自分の抱えられる想いを超えて感極まってしまいました」と振り返った。また、「大学生活の中で管弦楽に束縛される部分は大きいが、多くのことを教えてくれます。音楽や知識だけでなく、人間関係や出会いにも恵まれたことに感謝しています」と管弦楽団の魅力についても語った。
 現在管弦楽団は、5月14日に愛知県芸術劇場コンサートホールで開催予定の春の定期演奏会に向けて、また厳しい練習に励んでいる。弦楽器の奏でる重厚な音色、ホルンの美しい響きなど南山大学管弦楽団の演奏を楽しんでみてはどうだろう。