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〜スピリチュアルなメッセージを観客の心に〜





毎年同じストーリーで
違う感動を生みだす


十字架を担ぐイエズスとかけよるヴェロニカ


 南山の名物である野外宗教劇「受難」が十月十二日、パッヘスクエアにて上演された。三時間にわたる巧みな演出と役者の熱演は、集まった三百名の観客を惹きつけた。
 たくさんの見せ場の中で、特に観客をあっといわせたのはサタン(人の心に潜む悪)が現れるシーン。二人のサタンが気味の悪い笑い声をパッへスクエア中に響き渡らせ、観客をぞっとさせた。また、ユダ(イエズスの弟子。イエズスを裏切った者)が自ら命を絶っていく場面は、ユダの悲しみ、苦しみが目の動きに至るまで細やかに表現されていて、観客が思わず息を呑む名演技であった。
伝統を引き継ぐ部員たち
 劇中、圧倒的な存在感があったのはやはりイエズス。野外宗教劇主幹の坂本裕有輝さん(経営学部経営学科三年)演ずるイエズスは、力強く、かつ包み込むようなやさしさのある声を舞台で響かせた。クライマックスである、イエズスがゴルゴダの丘に十字架を担いで登る場面は、実際、木材に相当の重さがあり、かなりの体力が必要だという。公演後、坂本さんは自身の役について、「今年はイエズスの人間らしい面も出してみた。聖書に出てくる存在だけに、やはり役作りは難しかった」と語った。  また、ピラト(ユダヤの総督)を演じた川本健太郎さん(人文学部人類文化学科三年)によれば、野外で劇を上演することの難しさは、広い舞台での発声、振り付け、スペースの使い方にあるという。毎年、演出、脚本が変わり、違った魅力を見せる「受難」について、「作り上げていく過程で私たちには達成感や連帯感が生まれる」と教えてくれた。公演直後のカーテンコールで涙する役者やスタッフ、この姿からいかに彼らがこの「受難」劇に力を注いできたかがうかがい知れた。
 「受難」を三年間作りあげてきた坂本さんと川本さんは「学生生活が充実したものになった。自分たちはいい意味で変われた」と振り返った。「お二人にとって野外宗教劇とは何か」との問いかけには、坂本さんが「青春」、川本さんが「成長」と答えた。今年で三十六回目の上演となった「受難」。この伝統をいつまでも引き継いでほしい。
(片淵・佐分)