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開設記念講演会を開催




今春開設の「南山エクステンション・カレッジ」

作家 曽野綾子氏を招いて開設記念講演会を開催

「世界の現状をしっかりと見て悩むべき」
500名が曽野氏のメッセージを聞く


作家曽野綾子氏を招いての「南山エクステンション・カレッジ」開設記念講演会が四月五日、本学名古屋キャンパスG30教室で開催された。会場には五百名以上の一般参加者が訪れ、満席となった。 
「世界の中の日本」と題した講演で曽野氏は、日本人は一人よがりなものの見方をするのではなく、現状をしっかり見つめ世界に通じる考えかたを学ぶべきであるということを、曽野氏のNGOでの長年の活動体験を基に語った。そして、何故日本人の常識的なものの見かたと、世界の考えかたが違うのか大いに悩むところである、と聖書の深遠な言葉の解説をまじえて説いた。また、その中で、世界の特に極限の状況に置かれて生活をしている人々の生きざまと、日本人の生半可な考えかたとの乖離を鋭く指摘した。講演要旨は以下の通り。

名古屋キャンパスG30教室で講演する曽野綾子氏

「若者にこのメッセージを伝えてほしい」


【記念講演要旨】 英語では卒業式にCommencement、即ち、開始という意味の語を用いている。私も 卒業してから、清濁合わせて諸事を呑み干すことを善人からも悪人からも学んだ。例えば一般に悪銭と呼ばれているギャンブルで儲けた金も人を助けるために費やせば、聖書の教えに則っている。三十年前からNGOで活動しているが、このボランテイア活動はルーレットで儲けた金を元手にスタートできた。ボランテイアとは、無理をせずまず自分に出来る小さなことから始め、手の届く隣人を助ける、予算にあわせることである。ある神父の「人を助けるということは一人ですることでなく、多くの人々と協力することであり、助ける人も助けられる人もお互いに感謝することである」という言葉で開眼をした。マダガスカルで取材中、極貧の中でも必死に十人目、十一人目の子供の誕生を願い、無事な出産を祝う姿に子供に託す未来を見ることができた。そのとき、日本人の安易に中絶を容認する認識不足を再考する必要があるとの思いを深くした。南アフリカのエイズ撲滅に対する日本の援助も現場が何を一番必要としているかを見て欲しい。人口四千万人に対して感染者が四百万〜四百五十万人と言われるが、患者が亡くなったとき遺体を安置する場所さえない現状である。日本財団がエイズ病棟の建設に取り組み素晴らしい評価を得ているが、それより、霊安室の開設が先決問題であるという現地の要請を目のあたりにし、日本人の常識と異なる常識があることを痛感した。日本人独善の常識に捉われていては見ることができないところを見るように心がけて、本当に悩んで欲しいと思う。イエスの説く愛は、彼、彼女の思いのままにさせることである。客人への思いやりである。その国、地域の現状がどのようであるか、しっかりと現実を見つめ、現地の人々に接して欲しい。例えばインドネシアの貧しい少年がトラックからガソリンを盗み、盗んだガソリンを売って家族を養っている。その盗みの現場を運転手は見ているが決してその少年を泥棒として捕らえない。日本人がこの現場にいたなら、盗むという行為のみを重視して、何故盗みが黙認されているのかその現状を少しも把握しようとしないであろう。
 日本人は大変恵まれている。戦後の日本経済の発展は特に水、電力の普及に因る。電気の普及が民主主義を築きあげた。例えば電気の供給がない地域では、部族の酋長は絶対的な存在であるから、全て酋長の判断で物事が決められる。電力を使ったマスメデア、TV等で知識を平等に浸透させることができない。電気のない国での民主主義は不可能である。日本人がこうした貧しい国の人々を思うことと、その国の現実とは非常に食違っている。
 ベイルートで実見した夫妻のことだが、夫が妻に土産物を買う際、高価な品物を買い与えるほど妻にたいする愛が深いと信じている。こういう現実を、その国の実生活から学ぶことがよくある。愛とはギリシャ語でエロス、聖書ではフィリア(兄弟愛、好きであること)を意味する。しかし好意の還流ではない。使徒パウロの愛の定義に″覆い被せ、下から永遠に支えよ″とある。コリント書十三章に″理性の愛″、こうしなくてはならない愛―人間として行なわねばならない愛―が説かれている。嫌な人間は嫌いで良いが、もしそれが自分の肉親であったらどうするか、理性で考え行動することである。聖パウロの使徒行録に″生活の困難な所には真の愛、悲痛な愛がある″と記されている。日本のように幸せな国に住む人々にはこの意識、悲痛な愛がない。受けるより与える方が幸いである。
 最後に「自由とはしたいことをするのではなく、人間がすべきことをすることである」と語ったあるインド人の神父の言葉で結びとしたい。日本は世界の中の現状を見ていない異常な国である。現状をしっかりと見て深く悩むべきである。若者に是非このメッセージを伝えて欲しい。
(文責:蜂須賀幸志 総合政策学部教授 南山エクステンション・カレッジ委員会委員)

*「南山エクステンション・カレッジ」秋季公開講座の要項は八月中旬頃発行予定です。資料請求は、左記の南山エクステンション・カレッジ事務室ホームページとFAXで受付しています

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