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南山ブレティン200号
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カルマノ学長から鳥巣新学長へ 2008年4月の就任以来、2017年3月までの3期9年間、南山大学長を務めたミカエル・カルマノ学長から、この4月より鳥巣義文教授がバトンを引き継ぐ。キャンパス統合と共に新たな一歩を踏み出す2017年の春、両者にその想いを伺った。

南山大学第6代学長 ミカエル・カルマノ(Michael Calmano)1948年生まれ。ドイツ連邦共和国(旧西ドイツ)ヘッセン州リンブルク出身。ドイツの神学校と南山大学文学部神学科で神学を、アメリカで教育学を学ぶ。1975年、司祭叙階。1984年からは南山大学にて教鞭を執る。2008年4月、南山大学長に就任(〜2017年3月)。カトリックの各種要職を兼任。趣味はクラシック音楽鑑賞と読書。

カルマノ学長に聞く「9年間を振り返って」

学長在任期間を通しての一大プロジェクトであった「キャンパス統合」がこの4月にいよいよ実現します。全学部・全学科を名古屋キャンパスに統合し、学部横断的な教育を展開していきます。なぜ瀬戸キャンパスを名古屋へ統合する必要があるのか。名古屋の中心地という利便性を確保し、すべての教育資源を一つの場所に集約することで、これまでよりも質の高い教育と研究環境を提供できるのではないか。他学部・他学科間での交流を活性化し、学生・教員同士がお互いの違いを認め合い、協力しながら高め合っていける環境を創出できるのではないか。検討を重ね、見通しがついたところで、具体的にプロジェクトが動き始めた時はとても嬉しかったことを覚えています。

環境と体制は整いましたが、真の意味でのキャンパス統合はこれからです。完結までにはまだ時間がかかりますが、“One Campus Many Skills”というキーフレーズを掲げ、ひとつずつ着実に歩みを進めています。具体的には、2017年度より新たに「国際教養学部」を開設し、全学的に「クォーター制」を導入します。さらに「国際センター」と「外国語教育センター」を設立し、学部の垣根を越えた国際教育を推進していきます。

写真:南山大学第6代学長ミカエル・カルマノグローバル化への対応は各大学に共通する課題です。社会や産業界のニーズも高く、本学においても様々な取り組みを続けてきました。それらが評価され、2016年6月の日経新聞の朝刊において「人事が見る大学イメージランキング」(日本経済新聞社と就職・転職支援の日経HRが調査実施)の「グローバル化に熱心な大学」で、本学が全国4位となったことが掲載されました。これも本学が国際化に取り組んできた成果だと思います。

「個の力を、世界の力に。」

南山大学のビジョン「個の力を、世界の力に。」には、人間の尊厳、多様性の確保、そして共生・協働の精神が示されています。豊かな国際力と専門性を併せ持ち、周囲の人々と協調しながら、目の前の課題に挑み、解決していけるよう、本学では“国境のない学びの場”を提供しています。

社会を良くするために自らの能力を磨き、それがやがて世界を変える力になっていく。例えば、いずれ社会に出て仕事をする時、言われたことをこなすだけでいいのでしょうか。社会のニーズに応えることは大切ですが、「本当のニーズとは何か」と常に原点に立ち返って自分に問いかけることを学生の皆さんには大事にして欲しいと思っています。勉強についても同様です。授業で教えてもらった知識を詰め込むだけでは“アクティブ”な学びにはなりません。自分自身に「こういうことを学びたい」という気持ちがあれば、真の知識として身についていきます。何をするか、「個」をどう解釈するか。各々問いかけていただきたいと思います。

新たな試みとして、2017年度よりクォーター制を導入します。1年を4学期に分けることで、海外留学の選択肢が広がります。さらに短期間で集中的に学ぶことにより学修効果の向上が期待できます。そして、海外からの留学生の受け入れが容易になり、キャンパスの国際化が促進されるというメリットもあります。

写真:「個の力を、世界の力に。」

現在検討しているのは、2年次あるいは3年次の第2クォーターに必修科目を設けず、これまで以上に短期留学がしやすい仕組みをつくること。すでに全学部でそれぞれの特色を生かした短期留学プログラムを展開しています。この仕組みをつくることにより、さらに多くの学生がその機会を利用しグローバルな視点を養えるようになります。

自ら学べる環境作り

教えることと学ぶことは「=(イコール)」ではありません。学生に主体的な意欲がなければ真の意味で我々は教えることはできない……教える立場として、常に抱えている悩みです。学生が主体的に学ぶために、大学として何ができるか。知識の修得に留まらない新しい学びの形を見つけ出して欲しいという願いを込めて、私たちは学ぶための環境整備に取り組んでいます。

理工学部移転に伴い2015年2月に竣工したS棟や、キャンパス統合に向けて2017年2月に竣工した新棟(Q棟)では、無線LANやe-ラーニング、学生が使い慣れた情報機器端末を学習や研究に活用できるBYOD(Bring Your Own Device)のための情報環境を整備しました。今後も段階的にキャンパス全体の情報環境整備を進めていく予定です。

授業以外でも学生が集い学べる場所を提供するために整備したのが「ラーニング・コモンズ」です。従来からある図書館やS棟に加え、新棟(Q棟)には、広々とした空間と充実した環境を整えました。全ての学生が利用でき、自律的な学習を支援する共有スペースです。Wi-Fiを完備し、PCやタブレットを使って調査や資料作りができる他、プレゼンテーションの練習やグループワークも行えます。学生同士が自主的に議論・発表をする場として使われます。

写真:「ラーニング・コモンズ」

世界とわたり合える知識と意識を備えた国際人に

本学では、グローバル社会で活躍するために必要な確かな語学力と広い視野を養うために、全学部が4年間を通じて英語はもとより英語以外の外国語の能力向上にも注力します。加えて、英語のみで授業を行う「国際科目群」(2016年度は約60科目開講)を履修することにより海外留学に近い体験ができます。高度な外国語運用能力だけでなく、専門科目も英語で学ぶことができ、異文化や社会に対する理解力と常識にとらわれない思考力を持つ真の国際人になる。これこそが南山大学が追求する国際性です。

そして、2017年度より開設する国際教養学部では、文化の垣根や境界を乗り越えて、異なるイデオロギーや価値観を尊重し、持続可能な社会を実現するための積極的な行動力を養います。アクティブ・ラーニングの教育方法を活用し、地球規模の課題を解決するグローバルリーダーに求められる4つの力(外国語能力・教養力・探求力・実践力)を育みます。

また、海外留学や国際交流の機会をより多く、多種多様に提供できるようにするため、「国際センター」を設立し、学生一人ひとりの目標に合った国際教育プログラムの一層の充実をはかっていきます。

本学での学びは「真の国際人」になるための道へと通じています。教育業界ではよく「人材の育成」という言葉が使われますが、私が敢えてこだわってきたのは「人材」ではなく「人格の育成」に重きを置く、ということです。学生の皆さんには、大学生活を通して人間力を磨き、そして「人間とは何か、人生とは何か」と思いを馳せられる人になって欲しいと願いを込めて、2017年度からの舵取りを鳥巣新学長に託したいと思います。

鳥巣新学長に聞く3つのキーワード「自覚・成長・円熟」

写真:南山大学第7代学長鳥巣義文カルマノ学長がこれまで築き上げてきたことを引き継ぎ、2017年度は“One Campus Many Skills”を具現化する年になります。私自身としては、やることが多くて大変な一方、楽しみでもあります。

歴代の南山大学長の中で、私は45年ぶりの日本人です。そこで私は和の観点を入れた「自覚・成長・円熟」という3つのキーワードを念頭に置き、大学運営を進めていきたいと考えています。大学では、何かを教えられるのではなく、学生が自ら学ぶことが大切です。

そのためには、まず「自覚」すること。自覚するには問いかけが必要です。自分は何者なのか、何がしたいのか。それらが明確になると、自ずと勉強する中身が見えてきます。

次に「成長」。学んでいけば人は成長します。学生のみならず、私たち教職員も学び、成長していく必要があります。学生の皆さんには、4年間を振り返った時に南山で育てた“果実”を得られたと思えるような学生生活を送って欲しいと思います。もちろん、大学卒業で学びは完了、ということではありません。人生はそのあともずっと続きます。学びが「円熟」して、その後の人生の実りとなるよう願っています。

2017年春、1つのキャンパスになって何が起こるか、試行錯誤をしながらも未来へ向かって歩みを進めていきます。南山大学が「世界から選ばれる大学」として、これからも成長を続けていくために、全8学部17学科が一丸となり、多様な取り組みを実践し、「絶えざる自己改革」の精神で臨んでいきます。本学のこれからの新しい展開にご期待ください。

南山大学第7代学長 鳥巣義文(とりす よしふみ)1954年生まれ。長崎市出身。洗礼名はミカエル。南山大学文学部哲学科および神学科卒業後、オーストリアのウィーン大学カトリック神学部博士課程を修了し、神学博士号を取得。1982年、司祭叙階。1992年より南山大学にて教鞭を執る。2008年、南山短期大学長に就任(〜2011年3月)。2017年4月、南山大学長に就任。カトリックの各種要職を兼任。趣味は文芸作品の読書と映画鑑賞、旅。少し前のJ-POPとイタリア料理が好き。