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南山大学ホーム日本語トップ総合案内南山ブレティン193号No.2
南山ブレティン193号
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私の研究

写真:西江 清高 教授

人類社会の出発点を研究する

西江 清高  (にしえ きよたか)
人文学部 人類文化学科 教授


専門分野は、「考古学」、「中国古代史」。
研究テーマは、「中国大陸における初期国家形成期の考古学的研究」。
主な担当科目は「東アジア考古学」「特殊講義(中国的世界の形成)」「東洋史」。

私の専門は考古学です。主として中国大陸の先史時代から初期王朝時代(夏・殷・周王朝の時代)を扱ってきました。考古学は人類活動の物質的な痕跡である遺跡や遺物を対象として、過去の人類の歴史や社会・文化の様態を研究する学問です。文字の記録がともなわない、黙してなにも語らない物質的な痕跡を相手に、分類や比較などの方法を駆使して過去を復元することがこの学問の醍醐味です。文献史料からは見えてこない人類の営為の一側面を明らかにします。最近の私は、GIS(地理情報システム)やリモートセンシングという考古学とは別の学問から生まれた方法にも注目しています。この方法を考古学に応用して、遺跡や遺物の空間論的問題にアプローチすることがたいへん面白いのです。たとえばあるとき、中国黄土地帯の遺跡分布図を見ていて、どうしてこの一帯には集落が立地していないのだろうと疑問がわき、衛星画像やGISの手法をもちいて調べていくと、その一帯が生活水の確保に困難な土地であることに気づきました。またあるとき、地域の中心的大型遺跡と一般の中小農耕集落の配置関係に体系的なパターンが見いだされ、調べてみると、「景観」あるいは「眺望」が重要な意味をもつことに気づきました。こうした現象に、古代人の土地利用の実践と空間認知の反映が見て取れます。私は黄河流域を対象にそうした分析を試行して、かつてこの土地を支配した中国初期王朝や始皇帝の秦帝国の「地域システム」の解明をすすめてきました。

考古学のコアとなる研究法は、出土遺物の型式学的研究とよばれるもので、これによって文化の時空間の枠組みを設定し、人間集団と相関する文化のダイナミックな動態を解明します。同時に現代考古学の一つの特徴として、自然科学や情報科学などの諸科学と共同研究することが重視されています。変動をつづける地球環境を舞台として、そこに文化や社会を築き、また滅ぼしてきた人類の営為を研究するのが考古学ですから、地球環境を理解するための諸科学の統合は当然のことだといえます。


西周時代の大墓、北京大学の発掘現場にて