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南山ブレティン182号
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特集 FEATURE ARTICLE 人類文化学科 インドフィールドワーク 〜インド・ヴァディパッティ村で、現地の文化と社会を肌で学ぶ2週間〜

長い歴史の中でカースト制度に基づく文化や社会を形成してきたインド。しかし近年、経済発展とともに、コミュニティの様子や人々の暮らしが急速に変化しつつあります。「変わりゆくインド」で今、何が起こり、人々はどんな意識を持っているのか。現地の人々と触れ合いながら、インド、そして自分自身を探究する2週間のフィールドワークを紹介します。

基本情報

滞在地域 インド最南部の東側に位置するタミル・ナードゥ州の州都
チェンナイから470Km、マドゥライ地区ヴァディパッティ村
期   間 夏季休暇の約2週間(2012年度は8/15〜30の15泊16日)
参加学生 「インドフィールドワーク」履修者2〜4年 約20名(2012年度は26名)
参加費用 約24万円

スケジュール(8月実施)

1日目 チェンナイ空港到着 ホテル泊
2日目 マドラス大学で文化交流会 ホテル泊
3日目 ロヨラカレッジにて研究発表会、夜ヴァディパッティ村へ移動 バス中泊
4日目 ヴァディパッティ村到着 オリエンテーション 神言会施設泊
5〜7日目 グループ単位で集落に住む全家庭でアンケート調査を実施
8日目 全体で調査の振り返りとデータ整理・各自の研究の準備
9〜11日目 グループ単位でそれぞれの研究テーマに基づいて実地調査
12日目 マドゥライ研修
13日目 ティルッチ、タンジャウール研修 チェンナイへ移動
列車中泊
14〜15日目 ロヨラカレッジにて現地学生と調査結果のまとめ、チェンナイ研修 ホテル泊
16日目 日本に向け出発、帰国 ホテル泊
異なる信仰、カーストの人々が
共存するインドで多様性社会を体感。

 多様なカーストが共存するヴァディパッティ村では、学生たちは自分たちの足で情報を集め、調査研究を進めます。調査内容は、カースト、宗教、教育、食事、祭り、装飾品、結婚などさまざま。引率するサガヤラージ先生は、次のように語ります。「人類学においては現場こそが学びの場。学術書や文献といった別の人の視点や価値観のフィルターを通さない、現地の『生の情報』を集め、独自の視点から研究を進めることが重要です。とはいえ調査は困難の連続。時間に大らかな現地学生との共同作業、交通や情報手段の不便さなどは日本人には不自由に感じられますが、現地の人にとっては当たり前のこと。それを含めて、現地の文化や社会を丸ごと受け入れる寛容さを養うことも多様性社会を学ぶ意義のひとつです。同時に、とても親切で温かな現地の人々との交流を通して、生きる意味や人生の価値観を見つめ直す学生も少なくありません。フィールドワークの目的は、研究テーマを入り口に、現地に生きる人々の本質を理解すること。それは結局、自分という人間や生き方を見つめることに繋がるのです。」

会話に加え周辺環境も貴重なデータ。
直接的な調査で観察力を養う。

 現地での調査は基本的に、インド人学生1人と日本人学生2人の3人1組のグループ単位で行います。たとえば、各家庭や施設を訪問して行う調査では、インド人学生が聞き取り調査を進める一方で、日本人学生は調査対象となる人や家、施設、周辺環境の観察に励みます。聞き手によって回答が変わる場合や、周囲の状況によって正確な回答が得られないことも考えられるため、誰が尋ねて、誰が答えたか。周りにはどんな人がいたかがとても重要になるのです。また、家はコンクリ造りかハット(小屋)か、あるいは調度品、電化製品、服装はどんな様子か、細かく観察することで生活レベルやクラスがわかり、より具体的で精度の高いデータに繋がります。目の前に広がる現実すべてを学びの対象と捉え、その場の状況や変化を敏感にキャッチする感性を鍛えることも、フィールドワークならではの学びと言えるでしょう。

インド人学生、人々との交流で英語、
タミル語の運用能力を磨く。

 フィールドワークの事前学習として、春学期にインドの文化や経済、宗教、地理などを総合的に学ぶほか、簡単なタミル語と英語の集中講座を毎週1回開講し、スキルアップを図ります。英語は、現地学生との交流のベースとなる言語なので、一定のレベルが必要です。約2週間のスケジュールでは、村での実地調査のほか、研究発表会もあります。これは、同じテーマについて日本とインド、それぞれの学生が自国についてプレゼンテーションし、互いの国の理解を深める目的があります。

フィールドワーク+前後の学習で
総合的な研究リテラシーを習得。

 帰国後の授業では、現地調査により収集したデータを各自で分析し報告書を作製して各方面に配布します。日本だけでなく、現地にも配布するため、英語での要訳も添えます。そして各自の研究成果を様々なイベントで発表します。
 インドの全体像を捉えながら、自分なりの研究テーマを見つける「事前学習」、現地での「調査」、収集したデータを分析して報告書にまとめプレゼンテーションする「事後学習」。3ステップで学ぶ一連のスキルは、あらゆる学術研究に通じる手法です。インドとのフィールドワークでは、問題発見・解決能力、論理的思考力、グローバルなコミュニケーション能力を総合的に身につけることができるのです。