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南山ブレティン179号
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 私の研究
 今「企業ファイナンス」がおもしろい
  BREMER, Marc
 
 
ブレマー・マーク 教授
ブレマー・マーク
経営学部
経営学科 教授
専攻分野は「経営財務論」。
長期研究テーマは
「Financial Deregulation」「Bank Governance」。
主な著書は
『An Introduction to Corporate Finance』
(共著 白桃書房 2007)。

ブレマー・マーク 教授
企業の資金調達コスト(WACC)を求める式


 私の主な研究分野はCorporateFinance(企業金融)です。企業金融は安定した時代に注目されることは少なく、また複雑な数式による価値評価やあいまいなリスクの測定に終始しているように見える分野です。しかし、今、金融の世界は、刺激的でかつ危険に満ちた分野になってきています。金融がうまく機能していなければ、世界に大きな問題を引き起こすことになります。金融システムが機能せずに深刻な事態を招いた例として、サブプライム・ローン危機やヨーロッパの金融財政危機が挙げられます。こうした大惨事を引き起こしたのは、金融メカニズムの問題点、誤った金融規制、金融取引の不透明性などです。
 現在、私が興味を持っている研究テーマは、適切な企業の借り入れ比率を求める問題です。企業は製品やサービスを作り出すために資産を必要としますが、その資産を獲得するための資金は金融業者や株式投資家から調達しなければなりません。この資金を銀行や債券投資家から借り入れることによって、借り入れコストを下げ、減税を期待できるという利点がある一方、負債の増加にともなって財務リスクも増大します。企業は、銀行や債券による借り入れと株式投資家からの資金調達を最もよいバランスで行う必要があります。私の興味は最適なバランスを見つけ出すところにあります。簡単に言うと、事業分野が安定しており、有形資産を多く保有する成熟度の高い企業ほど、借り入れを増やすべきなのです。一方、リスクが高く、有形資産が少ない企業は借り入れを減らした方がいいのです。
 多くの日本企業の利益成長率は低いものの、成熟した事業分野においては相当な利益を上げています。こうした企業は日常業務の一貫として借入金の大半を返済しました。その結果、日本における多くの健全企業は「過少借入」の状態にあり、現金の保有高が高すぎる状況になってしまいました。私の研究によれば、企業の負債水準が必要以上に低く、現金の保有高が多過ぎると、経営判断を誤る可能性が高くなる傾向が見られます。
 健全な企業は借り入れを増やし、余分な現金は自社株を買い戻すこと(自社株買い)や配当を増やすこと(増配)で、株主に返還するべきなのです。それによって、日本経済の成長も期待できると私は思っています。
以前、大学の広報で使用されたブレマー先生のポスター
(背景のホワイトボードには、ブレマー先生の研究分野に関する講義内容が書かれている)