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178号
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No.5
この号のCONTENTS
ブレティントップ
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私の研究
東アジアの地域協力と中国の少数民族問題
星野 昌裕
筆者著書『中国は、いま』
ほしの・まさひろ
総合政策学部
総合政策学科 准教授
専門分野は「現代中国政治」「東アジア国際関係」。
長期研究テーマは
「現代中国の政治変容に関する研究」。
主要な著書は『中国は、いま』。
(共著 岩波書店 2010年)
主な担当科目は「地域政治変動論」
「中国政治論」など。
新疆ウイグル自治区ウルムチの人々@(筆者撮影)
1990年の夏、当時大学3年生だった私は、北京発の二等寝台列車で88時間を過ごし、シルクロードで有名な新疆ウイグル自治区のウルムチに降り立ちました。そこで出会った少数民族のウイグル族はイスラム教を信仰し、顔立ち、服装、食文化の面で中東風情にあふれていました。イメージ上の「東アジア」とは全く異質な空間が中国国内に存在することに学問的な関心を抱いた私は、以来20年にわたってこの謎解きを研究テーマとしています。
中国では漢族以外の55民族を少数民族と総称します。しかしウイグル族の人口数840万は、大相撲で馴染み深いモンゴル国の270万人をはるかに上回っており、彼らが「少数」とされるのは1億人を超える漢族との相対的な関係でしかないことがわかります。また、少数民族が集中するエリアは中国全土の64%にのぼり、周辺国との国境の大半を占めています。中国は、国境沿いの広大な領域に、漢族と異なる独自の文化を有する絶対人口の大きい少数民族を抱える多民族国家なのです。
新疆ウイグル自治区ウルムチの人々A
(筆者撮影)
こうした構造から明らかなように、東アジア共同体の構築は中国の少数民族を抜きには語れない問題で、東アジアの地域協力を進める日本は、地域の望ましい将来像を検討しつつ、中国の民族問題に適応する政策を立案する必要があるわけです。