私は、授業で「刑事訴訟法」という法律を教えています。何かすごく堅苦しい、あるいは難しい内容なのでは、と思う人も多いかもしれません。刑事訴訟法は、具体的には刑事裁判の仕組みについて定めている法律で、そのための捜査段階の手続とか刑事裁判に不満を持った被告人が不服を申し立てる手続を扱う法律です。法学部生は多方面の企業に就職し、また進学していきます。法律に関する様々な素養は、社会に出て、いろいろな部分でとても重要になりますので、私も刑事訴訟法という科目を通じて、その教育全体の中で少しでも役に立つことができれば、と思いながら講義しています。
日本で裁判員制度がスタートしました。刑事裁判のあり方については、これまで以上に多くの人々から関心が寄せられています。私が刑事訴訟法に興味を持ったのは、学生時代にテレビで話題になっている事件の刑事裁判を傍聴したことや、模擬裁判を実演したことがきっかけでした。なぜ、裁判がこのような仕組みになっているのかと素朴な疑問を抱き、裁判で法律が適用されたり事実が認定されたりするメカニズムや、権利が保障される意義、そして社会における裁判の役割などを考えるようになりました。人間は文明をもち社会を構築してきましたが、そこには何らかの「裁きをする場」がありました。その裁判の形態はその社会によって違いがあり、手続は社会を支える根幹の一つとなってきました。しかし、その歴史の過程で培われてきた裁判原則もあり、中には万国共有の普遍的価値を持つものまであります。今後の未来を展望すると、刑事裁判はもっと変化を必要とされるのかもしれません。
授業では、以上のようなことを踏まえつつ、刑事訴訟法やそれに関係する法律(裁判員法など)について講義しています。実際に話すだけではなかなか理解が得られないところもあると思い、学生に簡易の模擬裁判を実演してもらったりして解説しています。刑事訴訟法を通じて、広く法や社会のあり方を考える素材を提供できればと考えています。 |