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南山大学ホーム日本語トップ総合案内南山ブレティン170号No.6
南山ブレティン170号
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 私の研究
 ハイブリッドは車だけじゃない!
〜英語動名詞への挑戦
鈴木 達也
 
Suzzallo & Allen Libraries
Suzzallo & Allen Libraries
(University of Washington)
鈴木 達也 教授
すずき・たつや
外国語学部
英米学科 教授
専攻分野は「英語学」「言語学」。
長期研究テーマは「生成文法による英語統語論研究」。
短期研究テーマは「英語名詞句の構造、英語動名詞の構造、統語連鎖、WH移動の統語分析、虚辞動詞の分析」。
主な担当科目は「言語研究の基礎〔文法論〕」。

 私は生成文法理論という20世紀半ばにアメリカで誕生した理論言語学の枠組みで主に英語の文法を研究しています。その中でも特に興味を抱いているのが動名詞の構造についてで、博士論文(University of Washington、1988年)のタイトルは、The Structure of English Gerunds。文字通り「英語動名詞の構造」の研究となっています。
 動名詞というのは動詞に-ingという語尾が付いて名詞のような性質を帯びるものですが、その名が示すとおり、名詞と動詞の両方の性質を併せ持つハイブリッドな構文です。動名詞には、より名詞に近い「名詞的動名詞」と反対に動詞にとても近い「動詞的動名詞」という二種類がありますが、私が特に興味をひかれるのは後者の「動詞的動名詞」の方です。
 20年ほど前、アメリカで「限定詞句の仮説」という画期的な分析が提案された際、私もすぐにこの最新の理論を取り入れて博士論文を執筆しました。この仮説のもとで分析すれば、内面的には動詞的でありながら外面的には名詞的であるという動詞的動名詞のハイブリッド的な特性も自然な説明が可能になるように思えたからです。
 しかしながら、歴史的な考察も視野に入れ、初期近代英語の頃の動名詞にまで研究を広げてみると、新たな問題が生じてきました。現代の動名詞ではあり得ないような、もっと名詞と動詞の特徴を複雑に併せ持っている動名詞が存在していたからです。現在特に興味を持って研究しているのは、この初期近代英語の謎めいたハイブリッド動名詞です。
 数年前、ケンブリッジ大学でこの初期近代英語の動名詞について研究発表する機会があり、その際、ケンブリッジ大学の教授とも動名詞研究の現状について話しましたが、結局二人とも「動名詞は難しくてよく分からない」という結論になってしまったことを思い出します。21世紀のハイブリッドの研究は、車だけではないのです。