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南山ブレティン164号
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 特集 Feature Article
 ハンス ユーゲン・マルクス南山大学長

ハンスユーゲン・マルクス南山大学長

我が国初の学校法人合併
合併記念の集い
  マルクス学長就任直後、南山学園と名古屋聖霊学園との法人合併に向けた討議が重ねられた。両学園の設立母体であるカトリック修道会の創立者は同一人物で建学の精神も共有していることから、合併することで強固な理想に立ってより優れた教育体制が樹立されるという期待感があった。マルクス学長はこの合併に際して「国際化が叫ばれる現代社会の中にあって、大学と2つの短大の持つ知識を結集し、その要請に応えていかなければならない。」とし、国際関係を軸とした新学部構想を提案した。この法人合併は、文部省所管学校法人同士の合併としては日本で初めてであったため、報道にも大きく取り上げられ、他の学校法人をはじめ社会から注目を集めることになった。

未来に対する責任
瀬戸
  法人合併という一大事業が完了すると、南山大学と名古屋聖霊短期大学の協議の上で、南山大学瀬戸キャンパスの開設、南山大学と南山短期大学・名古屋聖霊短期大学間の改組改編が進められた。
  名古屋キャンパスの既存学部(文学部・外国語学部)の改組は、本学の伝統的な特色ある教育の更なる充実化を目的として進められた。マルクス学長は学長就任時、「南山大学を通して世界が見える。」という視点から、語学教育と国際化の充実を目指した学部・学科の改組、改編を示唆した。旧文学部は人文学部に名称を変更し、「キリスト教学科」「人類文化学科」「心理人間学科」「日本文化学科」の4学科に編成。旧語学系学科は新たに外国語学部としてまとめ、「フランス学科」「ドイツ学科」「英米学科」「スペイン・ラテンアメリカ学科」、それにマルクス学長の強い要望でもあった「アジア学科」を新設し計5学科に編成、より徹底した語学教育と地域研究を目指すこととした。
  一方、瀬戸キャンパスの新学部設置については、既存学部とのバランス、社会的な需要に応える形での設置を念頭に置いて検討し、「数理情報学部」「総合政策学部」の2学部が新設された。特に「数理情報学部」の開設は、文系・理系両方をあわせ持つ真の意味での総合大学への生まれ変わりを意味し、このことは、グローバル化・情報化した現代社会のニーズに応えようとする「外に対する責任」とともに、本学創立の基礎を築いたパッヘ神父らが抱いていた理系を含む総合大学への発展の意向を実現させる「内に対する責任」を果たすものでもあった。そしてマルクス学長は、「南山大学は私たちの世代さえ守ってくれればそれでいいというわけにはいきません。何十年も先の未来人たちのものである南山大学を彼らに胸をはってバトンタッチできる、そんな大学に築き上げる使命があります。未来人のために長期的な展望に立って不断に改革を進めていかなければなりません。」と、これから果たさなければならない「未来に対する責任」を述べた。

絶えざる自己改革
 新しいかたちの大学がスタートした2000年度、マルクス学長は「絶えざる自己改革」というキー・フレーズを掲げた。これは、「新しい形を作っただけで仕事は終わったわけではなく、むしろそれをどう活かしていくかである。大学が社会の評価に耐えうる形で発展していくためには、自らの研究・教育を常に高い水準で維持すると同時に、さらなる向上を目指す不断の努力が必要である。」というマルクス学長の強い思いが表現されており、新学部新学科体制の中で構築されたカリキュラムの提供する教育の質的向上が目指されることとなった。
  また2000年度学長方針において、「実務家による講義がもっと拡大、拡充されてもよいのではないか」という考えを打ち出し、従来の大学院の伝統を活かしつつも時代の要請に対応するため、社会人などの積極的な受け入れ、高度職業人の養成といった新たな大学院のあり方が検討された。そして2004年、瀬戸キャンパスの2学部を基盤とした新大学院「総合政策研究科」「数理情報研究科」、旧文学部・外国語学部を基盤とした「人間文化研究科」「国際地域文化研究科」、それに南山大学初の専門職大学院となる「法務研究科(法科大学院)」の5研究科を設置した。さらに2006年には、マルクス学長の強い要望でもあったビジネススクールを開設した。
  外国語教育の分野でも、「語学の南山」という世間の評判と期待に応えるべく「学ぶ外国語」から「使える外国語」を目標として改革を進めた。2007年4月英語教育センターを開設し、習熟度別クラス編成の全学的導入など英語教育プログラム全体の再構築が図られ、瀬戸キャンパスに続いて名古屋キャンパスにもワールドプラザを設置、学生の語学に関するさまざまな学習ニーズに応える体制が整った。
山手通り門
  キャンパス整備の面においては、名古屋キャンパスの法務研究科の開設にともない法科大学院棟(A棟)が建設されたのに続き、その隣接地にB棟・C棟を建設、あわせて山手通りに面する「山手通門」とそこに至るアプローチも完成し、学生サービスの充実が図られた。

個の力を、世界の力に。
 2005年4月1日付「理事長基本方針」で示された20年後の将来像の検討要請を受けて、建学の理念の再解釈を行い、20年後の将来像(グランドデザイン)を策定し、そのビジョン・キーフレーズを「個の力を、世界の力に。」と定めた。このビジョンは、「人種、障がい、宗教、文化、性別など、様々な違いを認識し、多様性を前提とした人間の尊厳、他者の尊厳を大切にし、人々が共生・協働することで、新たな価値の創造に貢献する」ことを意味する。このビジョンに基づき、ビジョン実現のための中長期目標、その目標を実現するための4つの改革テーマ「1.教育対象の幅の拡大」「2.学問領域の幅の拡張」「3.教育・研究を中心とした社会貢献のさらなる強化」「4.地域・企業・卒業生・海外との共生・協働の強化」が策定された。
初等教育から高等教育まで
 2008年4月南山大学附属小学校が開校する。南山小学校は、南山学園の創立者ヨゼフ・ライネルス師が住民の要望を受けて1936年に設立し、戦時下の社会情勢のもとで1941年に廃止されて以来の復活となる。そもそもこの小学校設立時の教育方針には南山学園が総合学園を目指すことが表明されており、その志を受けたアロイジオ・パッヘ師は1951年総合学園構想(小学校から大学院まで)を策定している。この構想から半世紀、南山大学附属小学校として再興が決定した。この初等教育の再興は、2007年が学園の設立母体の神言会会員来日100周年、また南山学園創立75周年に当たり、学園創立以来の総合教育を実現すべき時宜にかなったものといえよう。そして、マルクス学長がその初代校長に就任することは、学園のキリスト教教育の永続的な継承を根幹として、学園の教育が大学を中心として学園全体が一体となった中で進められていくことを示しているといえるだろう。
 ●マルクス学長(略歴)
 1944年7月7日生まれ。
 ドイツ連邦共和国ノルトライン・ヴェストファーレン州出身
 1968年 ドイツの聖アウグスティヌス哲学・神学大学哲学科卒業。
 1970年  南山大学への外国人留学生第1号として来日。
 1972年 南山大学文学部神学科卒業。
 1978年 ローマのグレゴリアナ大学にて神学博士号取得。
以来、南山大学で教鞭をとる。
 1986年 南山大学文学部教授。
(学部改組に伴い、2000年人文学部教授。)
 1993年4月 第5代南山大学長に就任。
(2008年3月退任)
 2008年4月 南山学園理事長、南山大学附属小学校初代校長に就任。