「宗教思想B」を紹介します。これは中学・高校の宗教科教員免許状取得のための選択科目の一つです。
このクラスでは、世界宗教を比較検討することで、一見したところ宗教間対立であるかのようにマスメディアで報道される事柄の真相を究明し、国家間、民族間あるいは宗派間にて政治とグローバル経済のしがらみによって混迷する人間の現状を、純粋に宗教の立場から解きほぐしつつ問題点を確認し、対話の展望を開くように試みています。
比較の対象としてイスラームとキリスト教を取り上げています。2001年9月に米国ニューヨーク市で起こった同時多発テロ事件の際に、当該の政治家と過激派指導者の間で、開口一番、十字軍また聖戦などのスローガンにより、それぞれの関係者を扇動するような論戦が交わされたために、両宗教に疎い日本社会ではキリスト教とイスラームが宗教戦争を始めたかのような勘違いが生じました。今日、例えばイラクからの報道はイスラームという宗教内宗派間の政治的主導権争い、クルド人の権利問題、石油の利権問題などとして浮き彫りにされ、二大宗教間の抗争という誤解は解けつつあります。
両宗教の思想的核心は、預言者と神との理解にあります。私たちに知られた名称で換言すれば、イエスとムハンマド、アッバとアッラーをどう捉えるかということです。キリスト教の聖書、特に福音書とイスラームのクルアーンを比較すると、両宗教の興味深い共通点と同時に相違点が発見できます。世界宗教には、全人類に共感できるような原点となる考え方があります。基本文献に遡って自ら比較検討することにより、各宗教思想の主張を正確に捉え、日常の混沌とした報道の中で見えなくなっている真実を見抜き、平和のための対話の糸口を見出すことができればと希望しています。 |