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161号
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No.8
この号のCONTENTS
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私の研究
犯罪防止のための環境設計
高橋 洋子
たかはし・ようこ
数理情報学部
情報システム数理学科
准教授
専攻分野は「住環境学」。
長期研究テーマは「防犯環境デザイン」
主な著作は「南山大学とアントニン・レーモンド」
(アルケイア、南山大学史料室、2006年度)
担当科目は「都市論」「地域開発と環境保全」「近代建築史」など。
私の現在の研究テーマは「住環境の防犯設計について」です。
日本の刑法犯認知件数は2002年にピークを迎え、その後減少に転じているものの長期的には増加傾向にあります。この犯罪の増加は住宅地においても同様で、特にアパート・マンションなどの集合住宅において顕著です。
かつて集合住宅は、鍵1つで容易に戸締りが可能で、また高層階では窓からの侵入が難しく、犯罪には強いと考えられてきました。しかし1970年代になると、集合住宅の犯罪に対する脆弱性が現れるようになりました。入居者同士の交流が少ないためよそ者が自由に出入りでき、避難階段やエレベーターなど死角となる共用空間は薬物取引や性犯罪、破壊行為の行われる場所となります。また近時ではピッキング犯罪が増加し、人の目が少ない高層住宅における窃盗も増えています。
このような状況に対して、環境の適切なデザインと効果的な使用によって犯罪に対する不安感と犯罪の発生を防ごうという研究が「CPTED(環境設計による犯罪防止)」です。
例えば、錠前の数を増やして犯罪対象を強化すること、オートロックで住人以外のアクセスを制御することが挙げられます。敷地内の歩道の色を変え、背の低い植込み、門扉のない門・アーチを設置すれば、物理的に侵入できても心理的に侵入しにくい、安全かつ開放的な環境を作ることができます。
死角をなくし監視性を確保するには、共用スペースに防犯カメラを設置したり、エレベーターに小窓を付けたりする方法もありますし、共用スペースの見通しを良くし明るくすることで、自然的監視性を確保することも重要です。また同じエレベーターや廊下を共有する戸数を減らすことで、不審者の識別を容易にすることができます。
また、環境設計の効力を高める主体は居住者であり、警察や地域との連携を前提とした居住者の「自衛意識」をいかに引き出すか、環境設計とあわせたまちづくりのあり方について研究を行っています。