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南山ブレティン160号
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 私のクラス
 外国語学部生のための政治学
鈴木 宗徳
 
鈴木 宗徳 助教授
すずき・むねのり
外国語学部
ドイツ学科 助教授
専攻分野は「社会学」。
長期研究テーマは「理論社会学研究」。
主な著作は「批判的社会理論の現在」(共著、晃洋書房、2003年)。
担当科目は「ドイツの政治と社会」「ドイツ政治研究」「時事ドイツ語」など。

 私が担当する「政治研究の基礎(ドイツ)」は、外国語学部の学部共通科目のひとつとして開講されています。新入生も履修できる科目のため、次に紹介するような、外国の政治と日本の政治を比較する上での基本的な見取り図を示すことを心がけています。
  ドイツという国を訪れると、日本とくらべて福祉が充実し、労働者を保護する制度が整っていることがすぐに分かります。よく知られているのが――最近廃止されつつある――「閉店法」という法律で、過度の競争を防ぐために夜間や週末の小売店の営業時間が制限されていました。これまで深夜営業のコンビニは開店できなかったわけですが、そうしたドイツに最近では規制緩和の波が押し寄せています。その一方、日本はサービス残業が横行する長時間労働の国として知られています。それでも「企業主義社会」と呼ばれた数年前までは、大半の労働者は終身雇用の下で安定した生活が保障されていました。しかし近頃では非正規雇用が増え「格差社会化」が進行していると言われます。その原因は、やはり労働法制の規制緩和です。
 ヨーロッパと日本、いずれも「改革」の名の下に規制緩和が進められていますが、それは同じ「グ
ローバル化」という現象を背景としていると言えます。西ヨーロッパの労働者は共産圏崩壊後の東欧諸国の安価な労働力との競争を強いられ、日本の労働者は改革開放後の中国の労働力と競争を強いられています。企業はグローバルな競争に勝ち残るため、規制緩和や法人税減税、そして福祉削減を政府に迫っているわけです。
  こうした時代であっても、いや、こうした時代だからこそ、まだまだ福祉が充実しているヨーロッパに注目する意味があるのだと思います。変化する社会のなかで政治の行く末を見守るためには、各国の制度の成り立ちに目を凝らし、相互に比較する視点を養わなければなりません。最後に少しだけ自慢話をすると、6年間この講義を担当していますが、最近よく言われる「格差」の話を扱ったのはずいぶん早くからだったように思います。