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南山ブレティン159号
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 私の研究
 縄紋土器と北東アジア
大塚 達朗
 
縄紋土器研究の新展開 縄紋土器研究の新展開
大塚 達朗 著

出版社
同成社
出版日
2000/12/10
ISBN
4-88621-209-3
大塚 達朗 教授
おおつか・たつろう
人文学部
人類文化学科 教授
専攻分野は「日本考古学」「先史考古学」「型式学」。
長期研究テーマは「環日本海先史土器文化編年研究」。
主な著書は「縄紋土器研究の新展開」(同成社、2000年)など。
担当科目は「考古学概論A」「東アジア考古学A」など。

 私の現在の研究対象は縄紋土器です。これまで、縄紋文化は縄紋土器一系統説によって理解されてきました。大陸から渡来した土器を元に日本列島内で独自の発展を遂げたのが縄紋土器であり、それを育んだ先史狩猟採集民の文化が縄紋文化であるという説です。この一系統説の根拠は、型式の漸進的変化観と紋様帯系統論ですが、型式変化の漸進的変化はキメラ土器(異系統要素の同居土器)が各種存在することから否定されるべきこと、紋様帯系統論は論理形式が無限退行に陥っているので根拠にならないことなどを私は明らかにしてきました。
 縄紋土器一系統説は成り立たない一方、キメラ土器に着目することで、由来の異なる土器群が日本列島に多数ある可能性に気づきました。したがって、由来が一つで日本列島で独自な展開をした土器文化が縄紋文化であるという見方は問題であると学界に警鐘を鳴らしています。
 対案を出すためには、由来の異なる土器群がどのくらい存在するのか、それらは、日本列島内での展開なのか、列島外の先史文化と関連するのかなどを考えなければならないわけですが、そのために、近年明らかになってきた日本海を挟んだ大陸側北東アジアの諸先史土器文化と日本列島先史土器文化との編年関係を考究しはじめています。私は、北東アジアや日本列島は、先史狩猟採集民の文化として連動していると予想しています。
 それを証明するのは根気のいる面倒な作業ですが、文字記録の無い新石器文化を究明するには、生活の道具である土器を手がかりとするほかないのです。破片ですが確実な証拠から過去を明らかにすることは実に痛快だと思います。その楽しみを南山大学の学生・院生に伝えたいために、日々精進しています。