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南山ブレティン156号
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 特集 Feature Article
 教員養成GP補助事業

 南山大学大学院人間文化研究科教育ファシリテーション専攻と人間関係研究センターが中心となって行っているプロジェクト「豊かで潤いのある学びを育むために−ラボラトリー方式の体験学習を通した豊かな人間関係構築を目指して−」が、平成17年度文部科学省の大学・大学院における教員養成プログラム(教員養成GP)に選定された。今回、教育ファシリテーション専攻主任・人間関係研究センター長の津村俊充教授に、プロジェクトの内容や活動について話を伺った。
ハンス ユーゲン・マルクス学長
人文学部心理人間学科教授
人間文化研究科
教育ファシリテーション専攻主任
人間関係研究センター長
津村 俊充


Q1: まず、今回のプロジェクト「豊かで潤いのある学びを育むために−ラボラトリー方式の体験学習を通した豊かな人間関係構築を目指して−」の目的を教えてください。
A1: 社会の急激な変化に伴って、学校のあり方や教育の方法も大きく揺れ動いています。また、いじめ、自殺、生命の尊さが無視された事件など、子どもの対人関係能力の欠如が要因と考えられる様々な出来事が起こっています。その解決には、学校や学級、教師集団、また学校と家庭や地域との連携など、教師の学校教育に関わる実践的な問題解決能力の重要性があげられます。
問題解決実習に取り組む参加者
問題解決実習に取り組む参加者
子どもの人間関係能力の育成とともに、教師のコミュニケーション能力やチームワーク、リーダーシップ能力などの向上が喫緊のテーマです。生徒同士や生徒と教師の豊かで潤いのある人間関係が、学びの力や意欲の基礎となると考えています。「ラボラトリー方式の体験学習」の理論を導入することにより、個性を尊重する価値観とともに、子ども一人ひとりの「生きる力」を涵養することを目指します。さらに、本プロジェクトは、教師の人間性や人間関係能力の育成を通じて教育力の向上や学校改善に貢献しようとするものです。

Q2: 「ラボラトリー方式による体験学習」とは、どんな学習ですか。
A2:
南山短期大学名誉教授 星野欣生氏による公開講演会
南山短期大学名誉教授
星野欣生氏による公開講演会
1947年にグループダイナミックス研究の創始者でもあるK.レヴィンと仲間の研究者が開発したトレーニングです。彼らは、一人ひとりの存在を大切にし、学び合う関係づくりと態度形成に取り組むことによって、いかに民主的で信頼し合える風土を創り出すことができるか、という目標を達成しようとしました。そのために、コミュニケーションやグループワークにおける話題や課題といったコンテントだけではなく、そこに起こる人間関係の側面―プロセス―に着目することの大切さとそのプロセスから学ぶ体験学習の循環過程の重要性を提唱しています。この方法は、コミュニケーション能力の開発やリーダーシップ・トレーニング、組織開発など様々な領域で応用されています。

Q3: 実際に、「ラボラトリー方式による体験学習」を取り入れている学校はありますか。
A3:
「ラボラトリー方式の体験学習」の紹介
「ラボラトリー方式の体験学習」の紹介
小牧市立応時中学校において実践されています。応時中学校では、2003年度から「人間関係づくり」を第一の柱に、「授業づくり」「教育コミュニティづくり」の3本柱で新しい学校づくりに向けて取り組んでいます。特に、「人間関係づくり」に関しては、「人間関係づくりの理論と実践」についてPTAも含めて全教員がともに学ぶ校内研修を重ねるとともに、本学人間関係研究センター主催の研修会等への参加を通して、豊かで潤いのある学びを育むための学校づくりに取り組んでいます。こうした改革により、現在では、生徒と教師のコミュニケーションが円滑になり、多くの生徒が自信をもって目をキラキラ輝かせながら、何事にも前向きに取り組むようになってきています。わずか2年間で5%(25名)あった不登校生徒を1.8%(9名)まで減少させることができたことは大きな成果であるといえるでしょう。

Q4: これまで、講演会やワークショップを開催されていますが、反応はいかがでしたか。
また、今後の予定をお知らせください。
A4: 種々の公開講演会やワークショップを開催していますが、1月開催のラボラトリー体験学習ワークショップには、全国から83校141名の学校関係者が集まってくださいました。
一人になって体験をふりかえる
一人になって体験をふりかえる
アンケートでは、「学校現場に取り入れたい」「体験学習によって生徒の人間関係が豊かになる」との思いを強くされたご意見が多くありました。今後も、学校教育現場にできる限り密着した話題を取り上げた公開講演会や研究会を開催したいと考えています。また、本取組の一つの柱でもある研究協力校10校へのサポートも2006年度に実施予定です。詳細は、本学Webページでご確認ください。

Q5: 最後に、「ラボラトリー方式による体験学習」に興味を持たれた方へ
メッセージをお願いします。
A5: 人文学部心理人間学科では、人間関係の生(なま)の体験から学ぶことができるユニークな科目群を、教育ファシリテーション専攻では、「ラボラトリー方式の体験学習」に関する研究と応用実践ができるファシリテーター養成のためのカリキュラムを準備しています。また、人間関係研究センターでは、地域社会の方々へのサービスとして、「ラボラトリー方式の体験学習」の原理に基づく種々の研修会や研究会を開催します。このように、本学では、社会のニーズに応えられるように「ラボラトリー方式の体験学習」に関する情報発信と学びの場を提供しておりますので、是非ご活用ください。

http://www.nanzan-u.ac.jp/NINKAN/gp/