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南山ブレティン155号
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 Campus Topics
 野外宗教劇「受難」の歴史
取材:
小寺 良奈(日本文化学科4年)
野外宗教劇

 今年で39回目を迎える南山大学の恒例行事「野外宗教劇『受難』」の公演が10月8日、名古屋キャンパスのパッヘ・スクエアで上演された。今回はこの恒例行事の歴史について紹介したい。
 『10年の歩み』によると、文学部仏語学仏文学科の学生小谷昭彦氏が仏文学史の講義で宗教劇の話を聞いたことが事の始まりだ。パリのノートルダム寺院の前での復元的上演のことを聞き、幸いそれに使うグレバン原作からアレンジした台本が手元にあったので、ひとつやってみるかと腰を上げた。 しかし急には翻訳が間に合わず、第1回公演では上智大学教授のホイヴェルス神父作「受難」の台本を借用した。 主だったスタッフはわずか3名で、小谷氏はキャストとしても主役のキリストを演じ、他のキャストやエキストラと合わせて総勢100名以上を動員した。 当時、仏文学史を担当していた木村太郎教授の協力を仰ぎ、第1回公演は、1963年11月11日、南山学園付属聖堂前で行われた。第2回公演からは、グレバン原作「受難」を木村教授が翻訳した台本を用いた。 そこにアレンジを加えたり音響効果を工夫したりして独自の「受難」が作られていった。第3回公演から新しい舞台演出を試み、当時の図書館前に場所を移した。協力者も増える中、自動車部、水泳部、ワンダーフォーゲル部が協力し、スタッフ、キャストで総勢200名を超え、観客は2000名に近かった。 野外宗教劇「受難」は回を重ねるごとにパワーアップしていった。第10回公演の後、全国を吹き荒れた大学紛争の影響などで後継者が育たず、1948年以降公演は中止されていたが、1977年に再開されてからは毎年行われている。
 野外宗教劇「受難」は、一学生の一声で始まり、今日まで本学の伝統を代表する行事として引き継がれている。 小谷氏は「敬けんな宗教心から私の野外宗教劇は計画されたものではなかった。ただ何かでっかいことをやりたいという青春のヒロイズムが私を駆り立てたのである」(第6回公演のパンフレットより)と思いを寄せている。 今後も年ごとに新しい「受難」劇を展開し、よりいっそう多くの観客に野外宗教劇の魅力を届けてくれることを期待する。
【参考文献】
『10年の歩み』(南山大学野外宗教劇OB会、1972年5月)
『真正受難劇』(原作:アルヌール・グレバン、翻訳:木村太郎、南山大学野外宗教劇OB会、1972年5月)
『南山ブレティン』第40号(1977年12月)