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南山ブレティン155号
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 私のクラス
 「異なる社会を経由して考える」
森 千香子
 
法科大学院での授業
森 千香子 講師
もり・ちかこ
外国語学部フランス学科
講師
専攻分野は「社会学(文化社会学、都市社会学、集合行為論)」。
主な著書・論文は「市民のアソシエーション」(共著、太田出版、2003年)、「フランスにおけるイスラームフォビアの新展開とその争点」(中東学会年報、2005年)など。
長期研究テーマは「マイノリティー」と文化的抵抗。
担当科目は「フランスの社会」など。

 フランスから1万キロも離れた日本で、「フランスの社会」について学ぶことの意味は何か?そう聞かれたら、私はこう答えるでしょう。 フランス社会に関する知識を蓄積するのもいいけれど、それだけではつまらないし、あまり意味がない、と。これらの知識を、自分自身や自分の生きる社会に、何らかの形で接続することができて、初めておもしろくなってくる、と。 もちろんこれはフランスに限らず、あらゆる「異文化/社会」研究に当てはまることです。
 異なる社会の考察を通して、新しい目で自分の社会を振り返り、当たり前になっていた「常識」や「フツウ」を、違う角度から考え直すこと。異なる文化・社会の光を通して、自分自身の姿を「再発見」すること。 これこそ、異文化、社会について学ぶ楽しさであり、大切さだと思います。 では、実際にフランス社会をきっかけにして、どんな疑問が湧くかというと・・・
 <フランスの大学は学費がタダ同然である→なぜ日本やアメリカの大学は高いのか>、<フランスではストライキやデモがよく行われる→なぜ日本ではストライキがほとんど消滅したのか>、<フランスの大学には化粧をしてくる学生がほとんどいない→日本の学生はなぜ化粧するのか>、 <フランスでは公共交通やサービス業の従業員が無愛想に見える→日本のサービス業の従業員はなぜあれほど腰が低いのか>・・・
 これらは私が、いつも教室で繰り返していることです。 授業ではフランスの社会、都市、移民、階層の問題を扱いますが、それらを「遠いヨーロッパのできごと」と傍観するのではなく、できる限り日本の状況に照らしあわせて考えようと心がけています。 ですから授業名は「フランスの社会」ですが、フランスはあくまでも出発点であって、実際には日本のことを話すほうが多いかもしれません。フランスに関心のある人もない人も、ぜひ一度参加してほしいと思います。