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南山ブレティン155号
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 私の研究
 中世西洋典礼史に学ぶ
西脇 純
 
就職活動をはじめる前に読む本
西脇 純 助教授
にしわき・じゅん
人文学部キリスト教学科
助教授
専攻分野は「典礼学」。
長期研究テーマは「西洋中世典礼史」。
主な著書は“Ad nuptias Verbi. Aspekte einer Theologie des Wortes Gottes bei Ambrosius von Mailand (TThS 69), Trier 2003”。
担当科目は「組織神学(秘跡論)」など。

 私の専門は典礼学です。典礼学はキリスト教神学の一分野で、ミサ、結婚式、復活祭、クリスマスといったキリスト教のさまざまな祝祭や宗教慣習について、その祝いの神学的内容や意義などを多角的に研究する学問です。 なかでも私は典礼を歴史的な側面から考察する「典礼史」に惹かれています。
 典礼は古来、信仰が表明されかつ表現される場として、信徒の信仰生活の中心を成してきました。たとえば典礼文(祈祷文)はいわば信仰の表明文といえましょうし、典礼音楽はその信仰を音楽によって表現しようとする試みということができます。 キリスト教のドグマ(教義)が、時代ごとの制約の中で、あるいはそれぞれの地域の文化文脈において典礼という場でどのように言語化され、どのような芸術表現が生み出されていったのかを探ることは、大変興味深い研究テーマでもあります。 むろんドグマそれ自体もある特定の文化表現をとることはいうまでもありません。
 こうしてみると、典礼学には幅広い研究領域が拓かれていることがわかります。 私はとりわけ西方キリスト教の典礼史に関心があり、博士論文では、四世紀のミラノ司教アンブロジウス(397年没)の典礼観と、彼のミラノ教区内での典礼実践を研究テーマといたしました。 ところが論文をご指導くださった恩師は実に多くの専門をお持ちの方で、その一つが中世典礼史でした。先生はことあるごとに、「中世は実に創造的な時代でしたよ」と実例を挙げておもしろおかしく解説してくださったのです。 その恩師のお話を伺ううち、私の関心も次第に西方中世の典礼史へと移ってゆき、現在に至っています。 いうまでもなく中世は修道院を中心に、聖母崇敬、聖体に対する信心、グレゴリオ聖歌といった豊かな典礼文化が花開いた時代でもあり、その多くは形を変えて現代にも受け継がれています。 この時代の典礼を神学的な見地から研究することは、ひいては今の時代の典礼を見つめ直すことにもつながるのではないかと考えています。
 とはいえ、まだまだ基本文献の素読およびいくつかの個別テーマの資料収集に着手したに過ぎません。 今は、グレゴリオ聖歌の膨大なレパートリーのなかから、聖母賛歌などを個々にとりあげ、その歌詞を「典礼文」として捉えなおし、典礼史のなかに位置づけたうえで、その霊性や神学を読み解くことをとりあえずの研究目標にしています。
 一方、日本あるいは日本語という文化文脈のなかで典礼研究を志す者は、日本の典礼文化にも当然無関心ではいられません。その意味では、日本語の典礼文や典礼聖歌の資料なども今後の研究課題になってゆくでしょう。