南山大学
JapaneseEnglish
南山大学ホーム日本語トップ総合案内広報・コミュニケーション南山ブレティン155号No.1
南山ブレティン155号
1 - 2 - 3 - 4 - 5 - 6 - 7 - 8
 特集 Feature Article
 人間の尊厳のために

 南山大学は、中部地区唯一のカトリック大学で、日本における男女共学のカトリック総合大学は、南山大学と上智大学の2校です。 世界各地で多くの人々に共有されているカトリック教会の伝統や価値観を受け継ぎ、本学は「キリスト教世界観に基づき学校教育を行い、人間の尊厳を尊重かつ推進できる人材の育成」を建学の理念としています。 この建学の理念に具体的な方向性を与えるために、創立当初から「人間の尊厳のために」(ラテン語でHominis Dignitati)という教育モットーを掲げています。
 今回は、「人間の尊厳のために」について皆さんに知ってもらいたいと思います。
ハンス ユーゲン・マルクス学長
人文学部キリスト教学科教授
ハンス ユーゲン・マルクス 学長


Q1: モットーの発案者は。
A1:  長年、南山学園の理事長を務めたアルベルト・ボルト神父がモットーの発案者です。 ボルト神父は、昭和10年の来日以来、40余年もの年月を日本で過ごしており、81年の生涯のうち人生の大半を日本に捧げたと言っても過言ではありません。神父は、日本に派遣された当初、新潟、鶴岡、東京などで宣教活動に従事していました。 柔和で人の話に熱心に耳を傾ける神父は、どの教会でも愛と信頼をかち得、特に若者や貧しい人たちの支持は絶大でした。南山学園の仕事に携わるようになってからも、神父の真摯な態度は変わらず、学園の中枢として、理事長、学園長など主要な役職を歴任する間に、学園は順調な発展を遂げたと言われています。

Q2: モットーとして選ばれたのはなぜですか。
A2:
アルベルト・ボルト神父
アルベルト・ボルト神父
 1947年のある日、アルベルト・ボルト神父が上智大学から四谷駅に向かう途中、突然、「人間の尊厳」という言葉が思い浮かび、これこそ今の社会に最も大切なことであるという考えが神父の心を強く捉え、モットーとして選ばれました。
 当時、「人間の尊厳」は、世界の至るところで話題になっており、実際、1945年に連合国がサンフランシスコで調印した国連憲章にも「人間の尊厳」を確認する宣言が含まれています。

Q3: その時代背景を教えてください。
A3:
アロイジオ・パッヘ神父
初代学長
アロイジオ・パッヘ神父
1947年の学校教育法に基づく学制改革により、1949年名古屋外国語専門学校が南山大学となり、アロイジオ・パッヘ神父が初代学長に就任しました。 その開学式典の2日前、ナチスの不法国家が残した廃墟の中から新生ドイツ連邦共和国が誕生しました。 憲法にあたる基本法第1条第1項は、過去への反省と未来への誓いを重ねる形で、「人間の尊厳は不可侵である。 それを尊重し保護することはすべての国家権力の義務である」と宣言しています。
Hominis Dignitati
南山学園講堂玄関に掲げられた "Hominis Dignitati"
初代学長をはじめ大学開設に関わった多くの人々がドイツ人だったということもあり、「キリスト教世界観に基づく学校教育」という建学の理念を端的に表現するため、「人間の尊厳のために」という言葉を大学の教育モットーとして掲げ、1952年、「Hominis Dignitati」という標語を南山学園講堂の玄関に掲げました。

Q4: モットーの内容を教えてください。
A4:  日本のカトリック大学は、いずれも人間形成の基礎をキリスト教的人間観に置いています。 カトリック大学の教育理念として共通に確認されている定義は、「キリスト教によれば、人間は独自の尊厳を有する人格的存在として神によって創られ、神に向かうものである。 その人間の完成は、自己が有限であり他者に開かれた存在であることを悟りながら行う他者との対話、交わり、すなわち愛のうちに実現される」とあります。本学の開学以来、教育モットーとされる「人間の尊厳のために」は、この理念の端的な表現に過ぎません。
 本学で行う教育・研究の全ての活動が人間の尊厳を保護し、推進するためにあることをこのモットーは宣言しています。実際、建学の理念であるキリスト教世界観ないし、キリスト教精神の要は、一人ひとりの人間が神の似姿としてこの世に生まれてくるかけがえのない存在であり、それゆえ、まさに一個人として侵すべからざる尊厳をもつという考えなのです。 したがって、本学で行う教育の目標は、学生一人ひとりがまず自らの尊厳に目覚め、ひいては他者の尊厳を認め、それにもとづいて、ともに社会に奉仕するという姿勢を育むことです。
 このような人間の尊厳をしっかりと把握し、これを尊重しつつ生きていく人間になるようにという願いがモットーに込められているのです。

Q5: 南山大学ではこのモットーを学生あるいは社会一般にどのように伝えていますか。
A5:  本学はカトリック大学ですが、学生、教職員ともに必ずしもキリスト教信仰を強要していません。
記念講演会
「人間の尊厳科目」記念講演会

 学生に対しては、「人間の尊厳のために」を学ぶ機会として、「人間の尊厳科目」という授業を設けています。 2年生から4年生までの全学共通教育科目で、選択必修です。本学の教育モットーである「人間の尊厳のために」と直接関連する科目として、人間や人と社会・科学・学問との関わりなど広範な分野にまたがるテーマを学びます。 また、今年4月から9月にかけて、愛・地球博開催期間に合わせ「人間の尊厳科目」開講10周年を記念し、連続9回の講演会を開催しました。本学の建学理念を具現した倫理性を培う教育内容が社会一般においても大きく関心を呼び、改めて社会から強く求められていることを実感しました。
野外宗教劇
野外宗教劇「受難」
 さらに大学行事である入学式、卒業式では、カトリック司祭による「祈り(ミサ)」が行われ、ミッションスクールならではの荘厳な雰囲気の中、学生を祝福し、世界の平和を祈ります。宗教色を醸し出した伝統的行事としては、今年で39回目を迎えた野外宗教劇「受難」があります。 キリスト教信仰を中心テーマに野外宗教劇部の学生が熱心に取り組み、「パッヘ・スクエア」と呼ばれる名古屋キャンパスの芝生広場で公演が行われます。当日は、学生や教職員をはじめ、一般の方々が足を運びます。
野外宗教劇

 また、2002年には大学の新しいコミュニケーションロゴ・エンブレムを制定しました。 ロゴは、ZANを上昇させ、NとZを交ぜ合わせ、プラス思考・交流をイメージさせるクロスを形づくったデザインです。 クロスはキリスト教の精神を表すと共に、今まで培ってきた伝統を大切にしながら、新しい付加価値を創造し、未来へ展望していこうとする「伝統と未来の調和」を象徴しています。 ZANが上がっている形状は、向上心とチャレンジ精神など前向きな上昇志向を表現しています。 エンブレムは、コミュニケーションロゴのコンセプトと連動させて象徴性と権威性を強調したものです。 NANを縦に、ZANを横に組合せ、人が手でクロスを描いた形を表し、キリスト教の精神を象徴した独自性と知性の標章です。クロスの中心にはアルファベットの先頭文字Aが重なっています。 Aは「No.1、最高位」を意味し、国際的にもトップに輝く南山大学を表しています。
 このように本学の目標や理念をイメージとしても学内外にアピールしています。